寒い地方では塩を多く使った郷土料理が多い。長野県の「野沢菜漬け」もその1つ

塩には使うワケがある

塩には体温を維持する働きがあるのが1つ。東洋医学では、食べ物を陽性と陰性に分類する。陽性は身体を温めてくれるもので、陰性は逆に冷やすものを指す。塩を使った塩蔵食品は、陽性に分類されている。体温が1度下がると免疫力は約30%低下するとされ、適切な体温を保つ上でも陽性の食べ物が必要になってくる。低体温で冬の朝が寒すぎるという方は、コップ一杯の白湯に塩を溶かしたもの(塩分濃度0.5~0.9%程度)を飲んでみたらどうだろう。体温が上がり、身体がぽかぽかしてくるので一度、試してみてほしい。

2つめは、寒さの厳しい地域は冬場、積雪で食糧の確保が難しくなるので、塩蔵食品を活用してきたことがある。今では冬場でも新鮮な食材を入手できるようにはなったが、「食は三代」と言われるように、培われてきた味覚が変わるまでには長い時間を要する。そのため、今なお塩分濃度が高いものが食卓に上がるのだろう。もちろん、塩蔵したものをそのまま使っているわけではない。塩ザケや塩ダラなどそれ自体、塩分濃度が高いものはまず塩抜きをして、塩分濃度を下げてから料理に使われている。

最後に、家庭で簡単にできる塩蔵食品を1つ、ご紹介しておこう。

<塩豚>

①豚バラブロック500グラムに塩15グラムをすり込んで、ラップでぴっちりとくるんで冷蔵庫で1週間寝かせる

②沸かしたたっぷりの湯を、沸騰しない程度に調整し、ラップを外した①を入れ、約1時間ゆでたらできあがり

※ゆでた汁をそのまま冷やすとラードが採れるので炒め物に。スープはおいしいダシが出ているので、濃度を調整してスープ作りなどに活用できる

たかが塩だが、されど塩だ。健康の要でもあり、調味の基本でもある塩に、ぜひこだわってみてほしい。塩使いの変化が日々の食事をよりおいしく、健康的なものにしてくれることだろう。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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