肩肘張らない姿勢、共感呼ぶ

各章は〈「素人の違和感」を大切にする〉〈「この指止まれ」の指を磨く〉といった感じでポイントをまとめていく。事例には実際のプロジェクトのほか、NHK時代につくった「プロフェッショナル 私の流儀」や番宣動画やウェブ施策なども出てきて、多様な「伝える」から伝え方の押さえどころが語られる。その具体性や臨場感が本書の魅力だ。

「おわりに」の中で著者は次のように書き留める。「僕は、プロもにわかも、できるだけ多くの人が手を取り合って、肩を組んで、へらへら、にこにこ、わっははと笑いながら、気がついたら世界の風景がかきかわっているくらいの感じが好きだ」。仕事とはとらえずに楽しみながらプロジェクトに取り組む肩肘張らない姿勢が「意味や意義や理屈や大義ばかりが先に立って、腰が重くなって、前に進めなくなってしまう」ビジネスパーソンの読者をひきつけているようだ。

「社会課題の解決に関する本は、この店ではしっかり反応があることが多い。この本も先行販売して2~3週ベストテンから落ちなかった。先週は11位だったが、しばらくはこのくらいの順位を上下して売れ続ける気がする」と同書店でビジネス書を担当する本田翔也さんは話す。

それでは先週のランキングを見ていこう。

(1)マルクス「資本論」に脱成長のヒントを学ぶ斎藤幸平監修(宝島社)
(2)メタバースとWeb3國光宏尚著(エムディエヌコーポレーション)
(3)佐久間宣行のずるい仕事術佐久間宣行著(ダイヤモンド社)
(4)世界2.0 メタバースの歩き方と創り方佐藤航陽著(幻冬舎)
(5)ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門原野守弘著(クロスメディア・パブリッシング)

(青山ブックセンター本店、2022年4月11~17日)

1位はNHKの教養番組「100分de名著」のテキストを漫画化した本。『人新世の「資本論」』で注目を集めた斎藤幸平氏がマルクス『資本論』を読み解く内容だ。2位と4位には、メタバースの関連本が入った。2位の方は、長年VR(仮想現実)とブロックチェーンまわりでビジネスを手がけてきた著者によるメタバースとweb3.0の解説書。4位は本欄前々回の記事「メタバースの歩き方と創り方は? 最先端起業家の思考」で紹介した起業家の本だ。

3位の本は、話題の番組を制作してきた元テレビ東京プロデューサーが自身の仕事術を語る。5位は21年2月に「ビジネスに通ずる クリエイティブ発想の本質を明かす」の記事で紹介した本。メタバース関連も含め、論理を積み上げていく普通のビジネス思考とは違ったアプローチを提示する本が目立つランキングになった。

(水柿武志)

笑える革命 ――笑えない「社会課題」の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説

著者 : 小国 士朗
出版 : 光文社
価格 : 1,870 円(税込み)