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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に1度訪れている準定点観測書店の青山ブックセンター本店だ。まん延防止等重点措置解除からほぼ1カ月、土日の来客は回復が顕著な一方、平日の客足は鈍いという状況は、都心部西側のこの書店でも同じだ。そんな中、書店員が注目するのは、社会課題のプロジェクトを参加者みんなが「笑える」ものにして企画するプロデューサーが自らのプロジェクトづくりの方法を語った本だった。

「注文をまちがえる料理店」をプロデュース

その本は小国士朗『笑える革命』(光文社)。副題には〈笑えない「社会課題」の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説〉とある。小国氏は副題にあるような「笑える」社会課題プロジェクトを数々企画してきたプロデューサーだ。

代表的なプロジェクトは「注文をまちがえる料理店」。認知症の状態にある高齢者らがホールスタッフを務めるイベント型レストランで、時としてハンバーグを頼んだら注文を間違えてギョーザが出てきたりする。「まちがえる」と看板に掲げているので、間違いが起きてもそれを許容するやさしい空気と、むしろ一緒に笑っちゃいましょうというおおらかな雰囲気に包まれるという。

cancer(がん)の頭文字のCがつく商品からCを消して、その商品の売り上げの一部ががんの治療研究に寄付される「deleteC(デリート・シー)」。LGBTQ(性的少数者)といわれる多様な性の人たちと一緒に別府温泉につかりながら、誰もが楽しめる温泉について考えちゃおうという「レインボー風呂ジェクト」……。

小国氏の手がけるプロジェクトは、テーマはまじめな社会課題で、それに向き合っているのだが、参加者の顔からは笑顔が絶えない。どのような思考回路から、こうしたプロジェクトを生み出してきたのか、実際のプロジェクトを例にとりながら自ら解説したのが本書だ。

小国氏はNHKのテレビ制作者として社会人生活のスタートを切った。「伝える」ということに向き合ってきた軌跡がまず序章で語られる。その格闘の日々の果てに〈「伝えたいこと」を多くの人々に届けるためには、いくつかの押さえるべき要素がある〉と考えるに至る。その要素とは「企画」「表現」「着地」「流通」「姿勢」の5つで、それぞれに1章を当てて詳細に語っていく。

特設の平台で著者による「選書フェア」を開催。関連書も含めた販売増を狙う(青山ブックセンター本店)

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