業務時間の10%でグループ内副業が可能
――今の部署では自分に必要な能力をつけたり、経験したりすることが難しいと感じたり、自分の将来像をイメージしづらい、という人も出てくるのではないですか。
羽田:やはり実際経験しないとわからないことは多いので、業務時間の10%を使ってグループ会社を含む所属部署以外での業務を経験できる「キャリフル」という制度を設けています。グループ内での副業ですね。例えば「半年後にこういう部署でこんな仕事をしてみたい」という希望があれば、お試しができる。他部署を経験することで、今の部署での自分の仕事を見つめ直すきっかけになったりもします。
もう1つあるのが「キャリア選択制度」です。こちらは年に2回、自身のキャリアビジョンを踏まえて、経験したい仕事・部署への異動希望を申請することができます。異動希望を出した社員のうち50~70%の異動希望が実現しています。
例えば、今、人事で採用を担当しているある社員はもともと営業職だったんですが、最初は「キャリフル」の制度を利用して業務時間の10%で採用の仕事を手伝ってくれて、そのあと「キャリア選択制度」を使って異動してきました。
他にも「SWITCH(スイッチ)」という、社員なら誰でも応募できる新規事業提案の仕組みもあります。もともと、社長の井上が21歳になるまで周りに流されるばかりで志もなければ努力もしない学生だったのが、「このままじゃダメだ」と人生にスイッチが入ったらしく、社員にもスイッチが入るきっかけを提供したいと始まりました。
今では、新卒2年目の社員が優秀賞を獲得した後、3年目で新規事業責任者となったり、小さい子供のいる短時間勤務の女性社員が優秀賞を獲得したり、性別や役職、社歴などに関係なく挑戦、成長できる場になっています。これもある種の学び直しですよね。
学んだ効果の測定方法
――LIFULL大学という学びの場があるのでどうぞ自由に学んでください、というだけではなく、自分のキャリアについて試行錯誤ができる仕組みがあって、そこでやりたいことが見つかると、学びたいこともおのずと見えてくると。LIFULL大学での学びについてもう少し伺いたいのですが、学んだ効果はどのように測っているのでしょうか。
村川:必須プログラムに関しては、研修で学んだことが業務に生かせているか、半年後に確認するようにしています。例えばある社員がマネージャー研修でメンバーとのコミュニケーションについて学んだ場合、半年後に部下にコミュニケーションにどういう変化があったのかアンケートを取ります。エンゲージメントに関しては、アンケートだけでなくエンゲージメント専用の調査ツールを使うこともあります。聞いて理解するだけでは不十分で、行動や成果につながって初めて学んだ効果があったと言えます。
ゼミ形式の選択プログラムについては、なかなか効果を正確に測るのは難しいですが、終了後に受講者にアンケートを取り、自分の学びにつながっているか、仕事に生かすことができそうかなどを聞いています。講師がいいと満足度は高めになるのですが、「ああ面白かった」と満足して終わりになりがち。それでは効果が薄いので、学びの生かし方に目が向くようにできればと思っています。