
化粧品ブランド、オルビス(東京・品川)社長の小林琢磨さんが服装でこだわる点は、カジュアルすぎないイメージにとどめるさじ加減だ。腕に光る時計はメタルのGショックで、ビジネスシーンにも合うほどほどのカジュアルさがお気に入り。大の時計好きで有名なタイムピースを多数所有するが、最近、着ける時計に変化が表れたという。その変化はスーツに対する意識にも及んでいる。コロナ禍を契機にファッション消費が転換期を迎えるなか、化粧品でも消費者の価値観の変化を肌で感じているという。
頑張って買った高級時計 今はGショックが相棒
――きょうのスタイルに合わせている時計がGショック。素材がメタルだとよりビジネスシーンに合いそうです。
「35周年の記念モデルだったのですが、ラバーではないのでジャケットにもとても合う絶妙なモデルですよね。丸形のGショックは基本的にアウトドアや旅行の時にしていたのですが、メタルでこの形が出て圧倒的に登場回数が多くなりました。スーツには合わせないですけど、ビジネスシーンで普通に着けられます」
――時計好きですか。
「服ではいわゆる高級ブランドはそれほど買いません。ですが、時計だけはそれなりに持っています。ロレックスではヨットマスターやデイトナ、オーデマ ピゲのロイヤルオークなど。時計好きになったのはセイコー社員だった母の影響です。セイコーは輸入ブランドの時計も多く扱っていて、大学生の時からファミリーセールで、ジャガー・ルクルトやブランパンやブレゲなどを買っていました。母は『時計は頑張って良いモノをつけなさい』という人でしたので。最近の時計ブームで、10年前に買ったものが今はこんなに高く売れるんだとびっくりしますし、不思議です。ただ、コロナになって高級時計をしなくなっちゃいました」

――コロナの影響で価値観が大きく変わりました。ビジネスパーソンの装いについて感じるところはありますか。
「僕はコロナになってスーツの価値自体が上がったと思っています。自分でも着る機会は確かに少なくなりましたが、だからこそ株主総会などの、ここぞという時にスーツを着るのがめっちゃ楽しみになっています。買う着数は減ってしまいましたが、1着あたりの単価を上げて、頑張って上質なスーツを買っているんです。今は一人のライフスタイルの中で多様性が増していますよね。スーツはもう制服っぽい着られ方はなくなっていいですし、どんなシーンでもずっとスーツで通すなんて意味がないと思います。ただスーツに関しては自分の選択で着るようになると意識が上がり高揚感もあります」

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