
本日の魚料理は「平鱸(ヒラスズキ)のロースト“鱗(ウロコ)仕立て”」。ローストしたスズキに、付け合わせの野菜をウロコに見立てて並べた一皿。
こちらもソースが絶品。フュメドポワソンにさらにオマールエビのだしをプラスして、2つのうま味を凝縮。皮目がパリッ、身がふっくらとローストされた淡泊なスズキの味わいにリッチなコクをプラスしている。

メイン「仔(こ)羊背肉のペルシャード風 色彩豊かな小野菜添え エシャロットソース」はボリューミーだ。ペルシャードとは、パセリとニンニク、パン粉を混ぜたものだが、同店では、ニンニクをジャム状にして肉にぬり、その上から細かくしたパセリとパン粉をのせて焼いている。色とりどりの野菜と相まって、庭園のように鮮やかな一皿だ。
ソースは、エシャロット、白ワイン、エストラゴンにつけ込んだビネガー、フォンドヴォー、羊のだしで作ったソース。ほんのり酸味があるので、肉をさっぱり食べられる。
完璧な火入れで美しいロゼ色をした肉は、さくっとかみ切れる軟らかさで、羊特有の臭みはまったくない。
「脂身にしっかり火入れをすると脂が抜けて、歯切れが良くなるんです。脂身への火入れが甘いと臭みにつながります。ジビエ料理でも大切にしていることです」と野口さん。
同店では、素材の鮮度に何よりもこだわっており、人気のジビエも同じく、新鮮さにこだわっている。
「肉を寝かすところもありますが、それでは、ジビエ特有の野性味が強くなります。新鮮なものを使うことで、ジビエになじみのない人でも食べやすくなりますし、内臓までしっかりソースや料理でお出しできます」(木村さん)
コースの最後に登場するデザート「タルトシトロン、福島県産桃、パッションフルーツのアイスクリーム“夏の納涼”」。7品のコースは前菜もメインもしっかりボリュームがあるため、デザートは重くならないスイーツをそろえている。いずれも酸味を効かし、さっぱりした味わいでコースのフィナーレを締めくくってくれる。
しっかりしたソースの料理には、やはりワインを合わせたくなる。同店では、フランス産ワインのみ、120種類ほど取りそろえている。品種もフランス国内の産地も多種多様。好みや料理にあったものを選んで、料理とのマリアージュを楽しみたい。
どの皿も端正なビジュアルどおり、細部にまでしっかり仕事をほどこしたものばかりで、料理とソースのバランスも絶妙。
「そろそろ後進に道を譲らないと」と木村さんが語るが、まだまだベテランシェフと若手シェフとのタッグから生まれる料理を堪能したいと、多くのファンも願っているだろう。
今回はご紹介できなかったが、自慢のジビエ料理は、遠方からわざわざ食べに訪れる人もいるほど評価が高い。食べやすいと評判のジビエもぜひ試してみたい。
<メニュー>
・ランチ
Aランチコース(サービスランチ) 2420円 / Bランチコース 4000円 / ランチ5000円コース 5500円 / スペシャルランチフルコース7700円 ※価格は税込み。
住所:東京都杉並区西荻北3-9-13
電話:050-5487-4342
営業時間 ランチ 11:00~15:00、ディナー 16:30~21:00 ※感染状況、行政の要請により変更あり
定休日 水曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。