
コロナ下でも次々と新作を投入し、話題を提供し続けているスイスの高級時計オメガ。今年3月、同じスウォッチグループ傘下のブランド、スウォッチとのコラボ時計「バイオセラミック ムーンスウォッチ」が世界市場で一瞬にして完売したかと思えば、「スピードマスター」の新作は新規顧客獲得に成功をおさめて快進撃を続ける。オメガのレイナルド・アッシェリマン社長兼最高経営責任者(CEO)は、パンデミック下にあっても「待ち」の経営と一線を画し、「新作を投入し続けることこそが大切」と強気の姿勢を貫く。ラグジュアリーブランドに次々と新しい発想を注入し続けることの意義について聞いた。
――名門時計ブランドといえどもコロナ下で苦戦するところが目立ちました。勝ち組に残る条件は何だと考えますか。
「オメガには『スピードマスター』、ジェームズ・ボンドの愛用品として知られる『シーマスター』、エレガントなモデルの『コンステレーション』、そして『デ・ヴィル』と4つのラインがあります。オメガは伝統的なマニュファクチュール(自社で一貫製造する時計メーカー)であり、4つの主要カテゴリーを継承しながら、5000ドルから10000ドルの中心価格帯を維持することを大事にしています」
「そのうえでお客様にもっと近づくために、マジカルなブランドとして魔法をかけていきます。スウォッチとコラボしたムーンスウォッチが世界中で話題となったのもその一例ですし、歴史あるスピードマスターをアップデートした新作『スピードマスター ムーンウォッチ』は新規顧客の購入が多く、直近1年間の売り上げが5割増しになっています」
ブランドの価値 「新しい何か」にあり
――イノベーティブな発想はどこから生まれるのでしょう。
「大事なのは、お客様中心主義であるということです。元来、オメガはマジカルな性質を持つブランドだと強く信じていますが、次々と新しいアイデアが生まれ、これまでにない製品を世界に提案できるブランドであり続けられるのは、お客様が何を求めているかを常に考えているからです」


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