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いま教育界では、Science=科学、Technology=技術、Engineering=工学、Art=Liberal Arts(一般教養)、Mathematics=数学の頭文字を取った「STEAM(スティーム)教育」という新しい手法が脚光を浴びています。オンライン証券を中心に事業を展開してきたマネックスグループは2021年11月、このSTEAM教育事業を行う会社を傘下に収め、参入することを表明しました。金融サービスの会社がなぜSTEAM教育を? 同グループ社長の松本大氏が語ります。

おばあちゃんから渡された自分史

きっかけは、あるおばあちゃんとの出会いでした。

20年2月、ちょうどコロナ禍が始まりつつある頃に、当社では毎年恒例のお客様感謝デーの催しを都内のホテルで開いていました。まだそういう集まりが許されていた時期で、確か3000人くらい集まったと思います。催しが終わってすべてのお客様が帰られ、私も引き上げようとホテルの車寄せに向かって、大きならせん状の通路を歩いていると、突然、小柄なおばあちゃんに呼び止められました。

その方は手元にB5サイズぐらいの小さな本を持ち、横浜に住んでいると自己紹介されました。そして「これ、私の自分史なんです。どこにでもいる普通のおばあさんですが、生きた証しを残しておきたいと思って自費出版したんです。費用はマネックスで運用した株を売って賄いました。もしよろしければお持ちになってください」とおっしゃるのです。途中から孫娘らしき女性が出てこられて「おばあちゃん、あまりお引き留めするのもなんだから」と言われるので、お礼を申し上げて本を受け取り、お別れしたのですが、あとでその百数十ページの自分史を読ませていただいて、月並みな言葉ですが、とても感動しました。そこには確かに1人の人生の証しがしっかりと詰まっていました。

それと同時に「仕事冥利に尽きる」とはこのことだと感じたのです。我々のやっている金融サービスは、単に安く買って高く売って利益があがればいい、資産運用で100のお金を300にすればいい、というものではない。お客様の自己実現を我々なりにサポートする仕事であり、それこそが当社の存在理由なのだと、そのおばあちゃんに改めて教えていただいた気がしました。社員にもすぐにメールでその一件をシェアし、我々のよって立つ理念をバージョンアップすることになりました。そこから「個人の自己実現を可能にし、生涯バランスシートを最良化する」という企業理念が生まれたのです。

「生涯バランスシートの最良化」の中には、「よりよい人生を送れるような考え方を身につける」とか「難しい病気を治したり回避したりすることでお金や時間の支出を減らす」といったことも含まれます。今回我々が打ち出したSTEAM教育事業は前者の目的のために行うものです。

松本大 マネックスグループ社長

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