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人生100年時代と言われ、私たちの働く期間は今後ますます長期化していくことが見込まれます。そうなると、どこかのタイミングでキャリアを見つめ直すことは、ごく自然なことになっていくでしょう。そして、あえて働かない期間を設けることも、キャリアにおける選択肢の1つになっていくのではないでしょうか。

長期休暇制度を導入する企業も

特に女性の場合、出産・育児等を機に仕事から離れることは、これまで珍しくありませんでした。今でこそ育児休業制度が浸透し、育休後に職場復帰するケースは増えていますが、過去を振り返れば、退職の道を選んだ女性は決して少なくありませんでした。

仕事をしていない期間を、一般にブランク(空白)期間と言い、キャリア上はあまりポジティブなニュアンスを持たれない傾向にあります。しかし、そうした期間は本当に人生においてブランクだったのでしょうか。人それぞれ、何か意味のある時間であったはずです。

ヨーロッパなどでは、人生の一時期を仕事から離れる文化があります。心身の回復や旅、子育て、自己研さんなど目的は様々ですが、「キャリアブレイク」とも言い、決してネガティブなものとは捉えられていません。

ブレイク(break)とは、コーヒーブレイクといった言葉で使われるように、英語で「休憩」や「小休止」を意味する言葉。キャリアブレイクとは、離職や休職など一時的に働くことを休止することを言います。

写真はイメージ=PIXTA

写真はイメージ=PIXTA

こうした話をすると、「サバティカル休暇」を連想される方もいるかもしれません。これはもともと、一定期間勤務した大学教員が本来の職務から離れて、数カ月から1年程度、国内外で自由に研究や知識の獲得に専念する期間として利用されているものです。それが転じて、近年は日本においても長期の休みが取れるサバティカル制度を導入する企業が出てきています。

例えば、IT大手ヤフーでは、勤続10年以上の正社員を対象に、本人のさらなる成長につなげてもらうことを目的に、最長3カ月の長期休暇が取得できる「サバティカル制度」を2013年から導入。さらに休暇支援金として、基準給与1カ月分を支給し、従業員を支援しています。

また、航空大手の全日本空輸(ANA)は、理由を問わずに最大2年間休職できる「サバティカル休暇制度」を21年4月から導入しています。もともと介護や不妊治療、社業への貢献を前提とした進学等のための休暇制度はあったものの、使い道が自由なサバティカル休暇制度に一本化。無給ながら、休暇中の社会保険料は会社が負担するという手厚さです。

しかし、サバティカル休暇を導入している企業は、国内ではまだわずか。数カ月以上に及ぶ長期休暇を与えたり、療養以外の目的で休職制度を導入したりするのは、企業にとって決して容易なこととは言えません。

たとえ会社が長期休暇を認めたとしても、検討課題はあります。例えば、給与から天引きされる社会保険料は、産休・育休以外の理由で免除される仕組みはありません。そのため、給与が発生しない休暇中における本人・企業双方の負担をどうするか取り決めておく必要があります。また、長期不在中の業務オペレーションなど、対応すべきことは少なくありません。

そのため、個人が長期の間、仕事から離れようと思うと、会社を辞めてキャリアブレイクという選択肢が浮かび上がってきます。

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