8年間の近視発症率は14%、近視の進行も38%に認められる

データがそろっていた701人から、追跡期間中に屈折矯正手術(レーシックなど)を受けた人などを除外した上で、初回受診時に近視ではなかった516人(男性が50.6%)について、追跡期間中に近視を発症したかどうかを調べました。また、この516人に、近視だったが強度近視ではなかった人を加えた683人(男性が49.5%)を対象に、強度近視の発症の有無も調べました。近視の進行に関する分析は、691人(男性が49%)を対象に行いました。

8年間に516人中72人が新たに近視を発症しており、近視発症率は14%でした。また、5人が強度近視となっており、強度近視発症率は0.7%でした。さらに、近視の進行(少なくとも一方の眼で-0.50D以上進行)は、261人(37.8%)に認められました。

対象とした人々すべてを分析対象としても、近視関連の測定値は経時的に悪化していました。SEは統計学的に有意な悪化を示し(1年あたり-0.04D)、眼軸長も有意に伸びていました(1年あたり0.02mm)。

18歳以上の若者における近視発症と関係していた要因は、人種(白人に比べ東アジア人のリスクは6.13倍)、性別(男性に比べ女性のリスクは1.81倍)、屋外で過ごした時間を示すCUVAF面積が小さい(10平方mm減少あたりのリスクは9.86倍)、親が近視(親1人あたり1.57倍)でした。

近視の進行速度と眼軸長の伸長は、男性に比べ女性のほうが、また、親が近視の人のほうが早いことも明らかになりました。なお、学歴は近視の発症または進行と有意な関係を示しませんでした。

今回の研究で、小児期と比べるとその割合は小さいものの、18歳を過ぎても近視を発症する人は少なくないこと、また、近視が進行する人も多いことが明らかになりました。著者らは、「小児において現在検討されている近視予防法、たとえば屋外で過ごす時間を増やすことによって得られる保護的な効果は、成人後も続く可能性がある」との考えを示しています。

[日経Gooday2022年4月6日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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