南蘇名物 夫婦蟹味噌ソースかけご飯

1人前に10杯の蟹を使うゴージャスな料理

濃厚な蟹の味をご飯とともに楽しむぜいたくな料理が「南蘇名物 夫婦蟹味噌ソースかけご飯」(1人前3300円)だ。オスの蟹味噌や白子、メスの卵をミックスしたソースをご飯にかけて、よく混ぜてからいただく。お好みでバルサミコ酢をちょっとたらしてもいい。蟹味噌や白子、卵は1杯の蟹から1割ほどしか取れない、という。だから「1人前は蟹10杯を使う」という実にゴージャスな料理だ。

日本のコメではなく、縦長のロングライスを用い、ご飯の量は1人前で35グラム。一方、夫婦蟹味噌ソースはそれより多めの50グラム。日本橋店のディナーコースのメニューの一つ「蟹味」では、「三種冷菜」に次ぐ二番目の料理となっている。決して「シメ」の料理ではないのだ。

「蟹肉炒め ポーピン添え」。蟹肉をまずはそのまま味わい、次に左側のポーピンに詰めると、2度楽しめる

蟹王府のシグニチャー料理のひとつが「蟹肉炒め ポーピン添え」。皿の上には蟹の胸肉を集めて蒸して、炒めたものと、「ポーピン」と呼ばれるパリッとした薄い餅が並ぶ。蒸した蟹肉を、さらに炒める。2回加熱するため、その加減が料理の味を左右する。秋口(9月~10月)は蟹の脂が少ないため、炒める際に蟹油を加え、それ以外の時期はそのまま炒めるようにしている、と聞くと、店のこだわりを改めて感じる。

ポーピンは中が空洞になっており、蟹肉をスプーンでたっぷりとそこに詰め込んでパクリ。パリッとした食感とまぶされた胡麻の風味。炒めた蟹肉だけで味わうのとはまた違ったおいしさが楽しめる。

上海の「蟹王府 九江路店」は19年からミシュランの一つ星に輝く。日本橋店では個室の利用も可能だ。非日常の空間でめくるめく上海蟹の濃密な味に酔いしれてみるのはどうだろう。

(堀威彦)

蟹王府 日本橋店
住所)東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井2号館1F
電話)03-6665-0958
営業時間)
昼)11:00~15:00(ラストオーダーは14:00)
夜)17:00~23:00(同21:00)
価格)
ランチコース:3080円~
ディナーコース:27500円~

※上海蟹の姿蒸しはオス・メスや重量で値段が変わる。メス1杯(125グラム)3500円~、オス一杯(200グラム)5000円~。いずれも税込み価格、サービス料別

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