事前の準備が大切 「デジタル遺品」の問題はこう解決デジタル遺品管理術(1)

故人が残したデジタル機器やデータを「デジタル遺品」と呼ぶことがあります。デジタル機器を使っていれば、ファイルだけでなく操作履歴やクラウドサービスの契約など、多くのデジタルデータが残っています。ある日突然やってくる「別れ」に備えておかないと、周囲の人に迷惑をかけたり、大事なものを渡すことができなかったり、見られたくないデータを見られたりするかもしれません。そんな事態に陥らないように今から備えておきましょう。5回にわたって徹底解説します。

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ひと昔前であれば、家族の身に何か起きたとき、部屋を探せば通帳や日記帳、名簿や写真など、引き継ぎに必要なものを探すことができた。しかし今は、預貯金も生命保険もインターネットで取引する時代。デジタル機器やクラウド上に残した資産やデータを引き継げるよう準備したい。

デジタル遺品が抱える、厄介な問題

「デジタル遺品」という言葉がある。法律上の用語ではないが、故人が残したデジタル機器やデータといった意味で使われている。パソコンやデジカメなど、目に見えるものだけでなく、作成したデータや、クラウドサービス上の取引なども含めるのが一般的だ。

デジタル遺品は大きく3つに分類できる(図1)。記憶メディアも含めた、パソコンやスマホなどの「デジタル機器」。デジタル機器に保存した「データ」。そして、クラウド上に保存した「データや契約」だ。

図1 「デジタル遺品」としては、目に見えるデジタル機器だけでなく、機器に保存されたデータや各種の履歴、クラウド上のデータや契約なども考えられる

デジタル機器自体は誰が見ても遺品だとわかるが、機器内やクラウド上のデータは、機器を起動したり、サービスにアクセスしたりしないと、何があるのか判断がつかない。パスワードなどのロック解除手段を知らない人にはお手上げだ(図2)。

図2 デジタル遺品には契約時の書類などが残っていないものも多い。アカウント情報がないと、ほかの人は手を付けられないケースがほとんどだ