大企業幹部の考え方を変えるには……

――日本の大企業幹部は保守的な人が少なくない。彼らの考え方を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。

「そうですね、まず自分が何をしたいのか自問自答するといいでしょうね。人事コンサルのIWNC会長の八木洋介さんがユニークな企業幹部研修をやっています。モンゴルの雪山で3日間過ごして、自分の人生で今後何をやりたいか、5分間スピーチするという趣旨です。私も参加したけど、大企業の幹部ほどうまく言語化できないように感じる。組織の課題をこなすことは上手でも、自分が何をやりたいのか、考えたことがないのかもしれない。そもそも日本は小学生の頃までしか将来の夢は語らない。しかし、パーパスが一番大事。自分と会社のパーパスが共鳴しないといい仕事はできないし、幸福になれないでしょう」

いきなりの転職ではなく、まず副業からでもいいと説く田中教授

――実際はやりたいことを会社でやれていない人が多いですよね。

「私は好きなことしかやっていない。大学の教員以外にメディアに出たり、企業の取締役をやったりしているが、要は外で学んだ知見を外に出すという仕事、それが好きなことなのです。しかし、日本の企業には仕事が嫌い、つらいという人が多い。それでは生産性も上がらない。高校の同級生にシリコンバレーでベンチャー支援のWiLを創業した伊佐山元くんがいます。彼は1日を少し変えるだけで面白くなると話していました。例えば、帰宅するときに降りる駅を1駅変えると、新たな発見があったり、別の風景を楽しんだりできるというわけです。自分の好奇心のおもむくままに変化を常態化させるといいでしょうね。サイバーエージェント最高人事責任者の曽山哲人さんは『変化をルーティン化する』と言っています」

――「変化の常態化」という言葉に共感します。「キャリアキャピタル」は変化しながら、資本としてたまっていくという考え方。いきなり転職しなくても、ちょっと気になる副業をやってみると、いい形で変われたりしますね。花王はキャリア開発の一環として、社内公募制を導入して副業のプログラムを用意しています。興味があれば、手を挙げて挑戦できるわけです。

「ロートも面白い会社で、山田邦雄会長はすごく副業に力を入れています。いい会社がどうか、ずっと社内にいると気づかないけど、一度外から会社を見るとよく分かります。これからは様々な雇用形態で働く時代です。この会社で正社員をして、副業で他社の業務委託をしたり、取締役をしたり、そんな人は増えてゆくでしょう。やりたいことを求めて、次々変化しながら、幸せなキャリアを見つけていって欲しいですね」

キャリアオーナーシップが、社会を動かす/はたらく未来コンソーシアム

タナケン先生×入山先生の対談から見えた個人がパーパスを定める重要性