人気ブランドの定番 染めにこだわったグレーがきれい

「昨今はトラウザーズと呼ばれるようなドレス感のあるパンツが人気です。品よく合わせられるシャツジャケットの需要は高まっていますね」

そう話すのは、大阪市北区にある「VELISTA(ヴェリスタ)」ディレクターの鵜飼英隆氏だ。国内の人気ブランド「YAECA(ヤエカ)」が創業時から展開する定番の「コンフォートシャツ」を選んでくれた。

シンプルかつ上質なアイテムを提案する日本ブランド「YAECA」。素材やシルエットごとに多くのバリエーションをそろえる「コンフォートシャツ」はブランドを代表する看板アイテムだ。開閉しやすいスナップボタン、両サイドのポケットなどコーチジャケットのようなディテールが特徴。素材は奥深いグレーの色味と柔らかな風合いが目を引くコットンフランネル。YAECA / コンフォートシャツワイドRS 4万2900円

「カジュアルなデニムやチノパンはもちろん、きれい目のスラックスなどにも合うシャツです。鉄媒染(てつばいせん)という特殊な染色だからこそ生まれる、ニュアンスあるグレーカラーが洒落(しゃれ)ていますね。スナップボタンを採用したフロントボタンやカフスを省いた袖口など、アウターのような仕様が多いので、ラフに羽織ってもサマになる一着です」

両サイドのポケットが便利。袖口のカフスを廃しているのも特徴的
茶綿の成分と鉄分で化学反応を起こす特殊な染色方法を採用。生地のナチュラルな風合いを損なわず、表情のある色に仕上がる

シャツかジャケットか、分類に迷うようなユニークな一着だ。ブランド創業時から人気があるのもうなずける。コーディネートする際は、パンツの種類よりもシルエットに注意してほしいと鵜飼氏は話す。

「ゆったりしたシルエットの一着なので、細いパンツを合わせるとシャツのボリュームを強調しすぎてしまいます。シャツジャケットの身幅と、ヒップや太もも回りの差が出ないようなパンツを合わせると、大人っぽく着こなせますよ」

味のあるグレーを生かしたモノトーンのスタイリングが鵜飼氏のおすすめ

ラフなのに上品 ミリタリー由来のシャツカーディガン

「もともとウチはアメカジ好きのお客様が多いのですが、ここ数年はミリタリーアイテムの人気が高いです。BDUジャケット(軍用の戦闘服)に代表されるシャツ生地のアウターもお客様の反応はいいですね」

そう話すのは「HUNKY DORY(ハンキードリー)大阪店」(大阪市西区)の店長、塚本康博氏だ。「MANUAL ALPHABET(マニュアルアルファベット)」のシャツカーディガンを選んでくれた。

ドレスシャツ作りをルーツとする大阪のファクトリーブランド「マニュアルアルファベット」の一着。ミリタリーのファティーグジャケットをベースに、V ネックのカーディガン風のデザインを採用。コーマ糸を使用した高密度のタイプライター生地は薄いのにハリがあり、着心地は軽やか。MANUAL ALPHABET / シャツカーディガン 1万6500円

「ミリタリーのファティーグジャケットをヒントにした4つのポケットがアクセントになったシャツジャケットです。マットなタイプライター生地を硫化染めすることによって、ほどよいカジュアル感を出している点が魅力ですね。襟がないカーディガンタイプなので、首回りに合わせるアイテムも選びません」

首回りをスッキリ見せるカーディガン風の襟元
硫化染めによるこなれた風合いが魅力的。高級綿糸のコーマ糸を使った生地は肌触りもいい

ミリタリージャケットのラフさとカーディガンの上品さを兼ね備えた一着と言えそうだ。大人っぽく着こなすコーディネートの秘訣も塚本氏に聞いた。

「Vゾーンにアクセントを加えることで、バランスよく羽織れます。例えば、モックネックやタートルネックなど、襟が高いカットソーとの相性はいいですね。シンプルなクルーネックのTシャツを着るのであれば、ネックレスなどのアクセサリーを取り入れるのもおすすめです」

武骨なデニムやカーゴパンツよりも、スラックス感覚ではけるプレーンなワークパンツと相性がいい

文:FACY編集部 平野美紀子(https://facy.jp/)


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