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缶詰も「SDGs」がキーワード おすすめの3缶はコレ

黒川博士の百聞は一缶にしかず(17)

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NIKKEI STYLE

国連の持続可能な開発目標(SDGs)をコンセプトにした缶詰が増えてきた。もともと缶詰は天然資源を大切にする食品だが、SDGsで17の目標が定められたおかげで、その役割がより明確になったと思う。

例えば、目標の12番目「つくる責任 つかう責任」には、「2030年までに、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用を実現する」とある。これに合致するのが、サケの中骨やカレイの縁側(ヒレ)の缶詰だ。どちらの部位も原料段階では骨が硬く、食用には不向きだった。しかし缶詰にすれば高温高圧で加熱するため軟らかくなるし、骨はカルシウムだから栄養価も高い。天然資源を余すことなく「効率的な利用」につながる。

持続可能な開発目標は、他にも様々な具体例が示されている。今回はそれらの目標にあった"SDGsな缶詰"を3品紹介したい。

島根県の山間にある美郷町は、長年イノシシによる農作物被害に悩まされていた。かつては猟友会に駆除を頼んでいたが、被害が減らないため、地元農家の人たちも自ら狩猟免許の取得に乗り出した。今では100人以上の人が狩猟免許を持ち、自分たちの田畑を守っている。

捕獲したイノシシは解体し、「おおち山くじら」というブランド名で販売している。おいしい肉にするために猟はワナで行い、生きたまま処理場へ運ぶ。野生の鳥獣は、衛生的な環境で手早く血抜きすることで臭みが減るからだ。

この取り組みの素晴らしい点は、害獣であるイノシシを資源として活用していること。ゆえに目標はイノシシの駆逐ではなく、頭数をコントロールして共存していくことにある。SDGsの目標の15番目「陸の豊かさも守ろう」にぴったり合致している。

おおち山くじらは缶詰も販売している。4種類あるうちのひとつ「イノシシ肉と大豆のキーマカレー」は、肉に臭みがなく、コリアンダーやクミンなどの香りが高い。スパイシーなカレーが好きな人には特にオススメだ。

入院中の子供に付き添うママの健康にも配慮

小児病棟に入院している子供をケアするために、母親が泊まり込みで付き添うケースは少なくない。授乳やオムツ替え、沐浴(もくよく)や回診への対応など、やるべきことがたくさんあるからだ。しかし、病院側には母親をサポートする態勢が十分整っていないところも多い。基本的には食事の提供がないし(病人ではないから)、夜間も簡易ベッドで横になる程度だから、睡眠の質が落ちる。そんな生活を長期間続けていると、体調を崩してしまう母親も少なくないという。

そんなつらい環境下にいる母親たちを、主に食事面でサポートしようと活動しているのが、NPO法人「キープ・ママ・スマイリング」(東京・中央)だ。これまで病院に栄養豊富な弁当を届けたり、キッチンカーを手配して作りたての食事を提供したりしてきた。オリジナルの缶詰「にんじんとオレンジの食べるスープ」と「大豆ミートのキーマカレー」も、忙しい最中でも手軽に栄養を摂れるように工夫されている。どちらも野菜本来のうまみがあり、ナチュラルな味わいで食べ飽きないところがいい。

また、缶詰の製造は障がい者が働く加工施設が担っている。製造段階から消費に至る段階まで、その開発目標はSDGsの目標の3番目「すべての人に健康と福祉を」に一致しているのだ。

ちなみに「にんじんとオレンジの食べるスープ」「大豆ミートのキーマカレー」は現在、新型コロナウイルスで長期入院中の子供に付き添う家族へ無料配布されており、一般販売はされていないので、あしからず。

その日にとれたものを缶詰にして食べる発想

島根県浜田市の水産加工業者「シーライフ」は、これまで誰もやってこなかった革新的な缶詰を作っている。それは、製造当日まで魚種が何になるか分からないという"日替わり"缶詰である。

地元・浜田港には高級魚であるノドグロをはじめ、様々な魚介類が水揚げされるが、その中には市場価値の低い未利用魚も少なくない。「サイズが小さい」「小骨が多い」といった理由や、漁獲量が少ないといった理由で回避されていた。加工業者にしてみれば、仕入れる数が少ないと製造効率が悪いし、販売もしづらいのはわかる。

しかし、せっかくとれた天然資源なのだから、使わないのはもったいない。少量でも缶詰にすればいいのではないか。そう考えてシーライフが缶詰事業を始めたのが2017年のこと。1日に製造できる缶詰の数は約400缶と、数万缶単位で製造する業界大手には遠く及ばないが、製造設備をミニマルにしたため、たった数缶からでも製造できる。未利用魚を活用すれば、漁業従事者の収入アップにもつながる。SDGsの目標の2番目「飢餓をゼロに」などにも合致する取り組みといっていい。

もともと缶詰は、旬の時期に収穫された魚介や果物、山菜などを保存する役割があった。旬の時期は味が良くなるだけでなく、短期間で大量に収穫できるため、どうしても食べきれない分が出てくる。その余剰分を、味を損なうことなく保存できるのが缶詰だったわけ。また、容器のスチール缶やアルミ缶はリサイクル素材であり、日本ではどちらもリサイクル率90%以上を誇っている。そんなエコな缶詰にとって、SDGsはさらに商品価値を高めるためのいい指標なのである。

(缶詰博士 黒川勇人)

黒川勇人
1966年福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。

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