夏も快適、軽涼ジャケット 日本の職人技が生んだ傑作ジャケットスタイル大研究(8)

MEN’S EX

2022/5/25
MEN'S EX

毎日スーツ通勤の人がいる一方で、2022年も在宅勤務多めでスーツよりジャケット着用率が上がっている人も多いという。そんなあなたにおすすめのジャケットとコーディネートのコツをお届けするこのシリーズ、8回目の今回は、注文でスーツやジャケットを仕立てるビスポークテーラーが挑む「軽涼化」の工夫について紹介する。




加速度的に進むカジュアル化とリラックス志向の高まりを受けて、今、ビスポークジャケットにもかつてない"軽涼革命"が起こっている。最高の職人技による快適ジャケット。その最新事情をお伝えしよう。

CICCIO(チッチオ)

ノーライニングで格段に清涼化 代表 上木 規至さん

年々過酷さを増すニッポンの夏に対応すべくチッチオが打ち出しているのが、裏地をすべて省いた完全ノーライニングのビスポークジャケット。身頃はもちろん袖裏まで排されているのが特徴である。その恩恵を最大限受けられるのが、ポロシャツやカットソーなど半袖インナーの上に着用したとき。汗をかいても素肌に裏地がまとわりつかないため、真夏にこそ清涼感を味わえる。写真のようなメッシュ調の生地で仕立てれば通気性も大幅にアップし、すこぶる快適というわけだ。

とはいえ、用いる芯地は従来と同様で、構造のアンコン化はあえて行っていない。ビスポークならではの立体美を維持しながら極力涼しく仕立てたいという顧客の需要に応えるためだ。

余談だが、裏地がなくすべてのシームが露出した本作を見ると、チッチオの縫製がいかに精緻であるかを再認識できる。感動ものの職人技だ。手仕事の美を味わう観点からもおすすめの一着。オーダー価格は52万8000円〜(チッチオ ジャパン)

SARTORIA YAMACCI(サルトリア ヤマッチ)

身頃の芯地をすべて排して格段に柔らかく 代表 小山 毅さん

仕立て服が好きで好きでしょうがない。情熱に任せてクラシックの名店を渡り歩き、ついには自らサルトになってしまった小山氏。開業から10年を経た今でも、服を仕立てる日々に至福の喜びを感じるという。そんなピュアすぎる愛情ゆえか、小山氏は常識破りのビスポークジャケットを生み出してしまった。なんとこちら、上襟とラペル以外の芯地をすべて排した超アンコン仕立て。にもかかわらず、着ると芯なしとは思えないほどの立体感を描き出す。既製のアンコンジャケットとは全くの別物だ。「フィッティングを突き詰めれば、生地の張力を生かして立体感を生み出せる」とは小山氏の弁だが、それを可能にする採寸力とパターンメイキング力には感嘆するばかりである。いうまでもなく、着心地は圧倒的にソフト。まさに異次元の一着だ。オーダー価格は41万8000円〜(サルトリア ヤマッチ)