キャンプでもオススメの3缶 失敗しない缶詰料理 黒川博士の百聞は一缶にしかず(11)

たき火を前に缶詰を開けるのは至福の瞬間だ

毎年2月に開催される「スーパーマーケット・トレードショー」を、いつも楽しみにしている。食品流通業界に関わるメーカーや卸、商社が新商品を披露する大きな催事で、缶詰の新商品をチェックする上でも欠かせない機会なのだ。

今年も15社以上のブースを見てまわったが、多くの企業が販売にアウトドアを絡めている(あるいは絡めようとしている)のが面白かった。どういうことかというと、缶詰を家だけでなく、キャンプなどでも利用し、食べてもらいたいと提案しているのだ。そのためにキャンプ料理のレシピを公開したり、メスティン(アウトドアで人気の調理器具)で作る炊き込みごはん用の缶詰を販売したり。それらはもちろん、近年のアウトドアブームを意識しての動きであります。

僕も、登山やキャンプでいろんな缶詰料理を作って楽しんでいる。今回はその中から3つの例を紹介したい。

こだわりのソーセージ缶とトマトをスキレットで焼く

ソーセージ缶詰は、僕の知る限り昭和1ケタの時代からある定番缶詰だ。見た目こそ短くカットされ、缶に収まっているけれど、一般的なチルド品のソーセージと製法はほぼ同じ。例えば、明治屋の「おいしい缶詰 燻(くん)製粗挽(び)きソーセージ」がどうやって造られているかというと、①羊腸(羊の腸)にスパイス類を混ぜたひき肉を詰める②桜などの木材で薫製する。ここまでの作業はチルド品ソーセージと同じだが、その後、③カットして缶に詰め加熱殺菌する――という工程が、缶詰特有の作業になる。缶入りだからといって、原料をケチったり、工程を省いたりすることはない。

このソーセージ缶詰のウリは、天然の羊腸を使っているところだ。世界的に羊の飼育頭数が減っていて、羊腸の調達は年々厳しくなっている。そのためコラーゲンから造りだした腸(人工ケーシング)を使ったソーセージも増えているが、食感が柔らかいのが難点。明治屋はソーセージ本来のパリッとした歯触りを重視しているため、羊腸にこだわる。

そんな缶入りソーセージを、僕は酒のつまみに活用している。プチトマトと一緒にスキレット(鋳鉄製の平鍋)に並べ、オリーブ油をかけてたき火であぶるだけ。ソーセージだけだと単調だけど、トマトの酸味・甘味が加わることで味が深まる。溶けるチーズをかけても美味ですぞ。

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水分を少なめにしてドライカレー風に