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味の進化忘れぬ姿勢に感服 東京「中華そば 千乃鶏」

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NIKKEI STYLE

~鶏を使い倒した魅惑の1杯!ガッツリ系の超実力店『千里眼』が新機軸に挑戦~

今回ご紹介するのは2022年3月26日に東京・世田谷区内にオープンした『中華そば 千乃鶏(せんのとり)』だ。『千乃鶏』は『千里眼』のセカンドブランド。『千里眼』と言えば東京・駒場に09年11月に開業し、22年現在、名実ともにガッツリ系ラーメンシーンの頂点に君臨する超実力店。同店の名前を冠した「カップラーメン」なども全国のコンビニ店などで定期的に販売されてきたので、知名度も抜群だろう。

そんなビッグネーム『千里眼』が今般、満を持して、2号店となる『千乃鶏』を開業した。同店を率いる長坂淳店主は『千里眼』で季節限定ラーメンをはじめ、多くのオリジナルラーメンを考案・開発してきた経験豊かなラーメン職人である。

『千乃鶏』は東京都内の大動脈のひとつ「国道246号」の沿道にあり、鉄道の駅で言えば、東急田園都市線の池尻大橋駅から5分程度歩いた人通りが多い場所に立地。ロケーションは悪くない。

営業時間も特筆に値する。昼の部の開店時間は午前11時。一般的なラーメン店の開店時間である11時30分よりも、開店が30分早い。

『千乃鶏』が提供する麺メニューは現在、「中華そば(塩)」と「中華そば(醤=しょう=油)」の2種類とそのバリエーション。トッピングには味玉、ワンタン、チャーシューなどが用意されている。

サイドメニューとしてミニサイズの親子丼が食べられるのも、同店ならではの魅力。この「小親子丼」は親子丼専門店で提供しても十分通用しそうなほど高い完成度を誇る逸品なので、ぜひラーメンとセットで注文してもらいたい。

注文してから商品の提供に至るまでのオペレーションは極めてスムーズ。さすがは実力店が手掛ける店だけのことはある。スタッフの動きに一切、無駄がなく、到底、新店とは思えない。提供を待つお客さんには大いなる安心感を与えてくれるはずだ。

さて、同店の「中華そば」。初めて目にしたときの私の印象は「『千里眼』のラーメンとは、随分趣が異なるビジュアルだな」というものだった。骨太、武骨な『千里眼』らしさは随所に残しながらも、想像していた以上に淡麗ラーメンに寄せた仕上がりになっており、ゴテゴテ感がなく洗練された印象だ。

コロナ禍での試行錯誤でブラッシュアップ

長坂店主は言う。「かなり前の段階で、『千乃鶏』のラーメンの大枠は出来上がっていました。新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、2年前にこの店をオープンするはずだったのです。ですが、ご承知のとおり、コロナ禍が発生。新規出店どころではない状況に陥り、開店が22年3月にまで延びてしまいました。でも、振り返れば、これで良かったと思います。この2年間で、味を更に改良する時間を十分確保できましたから」

丼が目の前に提供された瞬間から芳しい薫りが鼻腔 (びこう)を心地良く刺激する点は、「塩」と「醤油」共通。スープは極めて透明度が高く、見とれてしまうほど。鶏ガラと丸鶏を「主役」に据えながらも、食味の力強さを演出するために「豚の背ガラ」と、更なるうま味の増強を図るために大量の「昆布」を使用。豚背ガラを使うことは、コロナ禍で開店できなかった時期に思い付いたのだという。

頬が落ちそうになるほど芳醇(ほうじゅん)で、舌上で転がすと種々のうま味が入れ代わり立ち代わり現れる重厚な味わい。確かに、鶏だけでは到底実現し得ないものだろう。

タレもまた、こだわりにこだわっている。「『塩ダレ』はどの塩を使えば、鶏の素材感を生かし切ることができるのかを考え抜いた上で、厳選した3種類の塩を使うことにしました。『醤油ダレ』は濃い口熟成醬油を軸に、埼玉県産の再仕込み生醤油と、和歌山県産のたまり醤油をブレンドしたものです」。いずれのタレも、2年前のそれとは比較にならないほどブラッシュアップされているという。これもまた、コロナ禍による試行錯誤の時間がもたらした成果の一つだ。

「中華そば(塩)」は鶏の魅力をダイレクトに感じてもらえるように、また「中華そば(醤油)」は鶏の素材感を生かしながらも、醤油のうま味も堪能してもらえるように、随所に工夫が施されている点も、特筆に値する。

本年3月の開店後も、スープの味をどんどん進化させているという。「当初『醤油』は鶏の素材感を前面へと押し出した形で提供していましたが、お客さんの様子を観察していると、後半に至るにつれて、食べ飽きてしまっている方が多いような気がしたのです。そこで、本枯れ節を加え、うま味の種類に幅を持たせることにしました」

トッピングにまで及ぶ丁寧な仕事ぶり

現状に満足することなく、常に味を進化させようとする姿勢は、他店の模範となり得るものだ。これらのスープに合わせる麺も、「中華そば(塩)」と「中華そば(醤油)」とで、異なるものを使い分けるこだわりよう。

「『塩』に関しては、鶏の素材感が損なわれないよう、タレのうま味を適度な塩梅(あんばい)へと抑え込む必要がありました。タレのうま味を控えめにすれば、当然、スープの味わいは穏やかになります。なので、麺も、スープに合わせて、極端に太くないものを使うことにしました。他方、『醤油』は、パンチのある味わいを演出するために、スープのうま味を強めにしています。なので麺も、スープに負けないよう、太く、ゴワっとした食感があるものを用いることにしました」

どちらに使用する麺も、スープがより絡みやすくなるよう、提供前に入念な手もみが施される。「『塩』の麺は、スープが軽めなので軽く、『醤油』の麺は、スープが強めなので強くもんでいます」。スープとの相性を考慮し、もみ方まで変化を加える。寸分の手抜かりもない、まさにパーフェクトな仕事ぶりだ。

丁寧な仕事ぶりは、トッピングにまで及ぶ。メンマはスープの邪魔にならないよう味付けを淡くし、チャーシューは、無料トッピングとして「わさび」を別皿で提供することで、食味にバリエーションを持たせるなど、食べ手の箸とレンゲを持つ手を最後まで止めさせないためのギミックが、徹底的に施されている。

「お客さまに、おなかいっぱいになってもらい、幸せな気持ちで帰路についてもらいたい。これからもずっと、そんな気持ちを忘れずに営業を続けていきたいと思います」

うま味がしっかりと入った親子丼の「若鶏のモモ肉」を頬張りながら、ラーメンの丼を両手で持ち上げ、グイっとスープを飲み干す。湧き上がる幸福感は、間違いなく本物。食べ終わる頃には、心身ともに極上の満足感に包まれていることだろう。

(ラーメン官僚 田中一明)

田中一明
1972年11月生まれ。高校在学中に初めてラーメン専門店を訪れ、ラーメンに魅せられる。大学在学中の1995年から、本格的な食べ歩きを開始。現在までに食べたラーメンの杯数は1万4000を超える。全国各地のラーメン事情に精通。ライフワークは隠れた名店の発掘。中央官庁に勤務している。

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