役割終えた?新語・流行語 言葉も「分断」の時代に

高校生の新語・流行語は変化が激しい(写真はイメージ) =PIXTA

「今年の漢字」と並んで、1年の終わりを感じさせる風物詩に、「ユーキャン新語・流行語大賞」がある。先ごろ候補語30ワードが発表された。だが、近年ずっと感じている。「ピンとこないなぁ」と。どうして私のはやり言葉感覚は候補語とマッチしないのだろう。

「新型コロナと東京オリンピックで終始した1年だった」と、選考委員会は評している。その見方を反映してか、候補語には東京五輪・パラリンピック(オリパラ)関連が9語、新型コロナウイルス禍関連は7語が選ばれた。この2ジャンルだけで30語の過半数を占めている。

確かにコロナ禍とオリパラの印象は強いが、「カエル愛」や「エペジーーン」「13歳、真夏の大冒険」「スギムライジング」「チャタンヤラクーサンクー」を会話で聞いた覚えはない。日常会話での使われ具合が選考基準ではないのだろうが、実感とずれる理由にはなっている気がする。

選考の方針として「軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶ」とあるので、「口」は一応、基準に含まれるようだ。だが、先に挙げたオリパラ関連語を見る限り、記事の見出しや本文に登場した「文字」に偏っているようにも映る。「軽妙」の要素が意識されているが、本来はそう重要でもないのではなかろうか。

そもそもどう選ばれているのかは、あまり世の中で意識されていない気がする。手順を確認すると、「『現代用語の基礎知識』収録の用語をベースに、自由国民社および大賞事務局がノミネート語を選出。選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる」とある。つまり、候補語は事務方でピックアップされているようだ。その意味でいえば、ネット言説にみられる選考委員への批判は当たらないだろう。

前身の賞は、バブル景気が本格化していく時期にあたる1984年に始まった。最初の金賞新語は「オシンドローム」(由来はNHK連続テレビ小説「おしん」)、金賞流行語は「まるきん まるび」(渡辺和博氏の著書「金魂巻」の言葉から)だった。86年の「新人類」、88年の「ペレストロイカ」あたりは時代の流れを示しているとみえるが、85年の「分衆」、88年の「今宵はここまでに」はどれぐらい人の口にのぼったのだろう。

実際に使った記憶が残る言葉はバブル期に多いと感じる。「ハナモク」「5時から」「24時間タタカエマスカ」はいかにも当時の世相を映し出している。自分も軽口に使った覚えがある。この時代までは流行語を会話で積極的に使うという意識が多くの人たちに共有されていたように思える。

年間大賞を選ぶようになったのは、91年以後だ。個人的にはこのころから徐々に「何かしっくりこない」という感覚が強まっていった。93年の「Jリーグ」は今でも立ち上げの熱気を思い出せる。95年の「がんばろうKOBE」には共感を覚えた。だが、99年の「ブッチホン」は使わなかったし、2002年の「タマちゃん」も、翌年03年の「毒まんじゅう」も自分で使った記憶はない。

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