
おいしい酒とごはんを求めて、こっそりと人がやってくる西荻窪。はしご酒にぴったりな店も豊富にそろう中、あまりの居心地のよさにゆっくりと長居する人が多いのが、2019年3月に開業した「お酒とごはん しんこぺ」だ。
JR中央線・西荻窪駅から徒歩1分の好立地に建つ同店は、2階建ての一軒家。1階は空間を広々と使ったカウンター席で、仕事帰りにふらりと立ち寄ってその日の疲れをいやしていく女性の一人客も多いという。
同店の料理をすべて一人で作っているのは平原謙吾さん。学生時代、知り合いが営むフレンチレストランを手伝っていたことから、その後、ミュージシャンとして出演していたライブハウスレストランのオーナーに見そめられ、ライブハウスでの調理を経て、「お酒とごはん しんこぺ」の店長に抜てきされた。
現在では、同店でランチレート付きアコースティックライブを不定期で開催することも。カウンター内で店主自ら演奏を披露し、MCのタイミングでドリンクのおかわりにも対応するというのはかなりユニークではないか。
料理は、毎日でも食べたくなるやさしい味のメニューが豊富。四季を感じる和風仕立てから、フレンチの技が垣間見られる洋食まで、平原さんのアイデアが詰まった創作料理が楽しめる内容となっている。

こちらは、7~8品盛りの「前菜盛り合わせ」。おまかせで作ってくれる一皿だが、魚料理のつまなどにもこだわっていて、ボリュームも満点だ。
盛り合わせられているのは「エストラゴンを使ったしめさば」「ホタテと魚卵のタルタル」「マスタードとチョリソーのポテトサラダ」「牛タンのローストビーフ」。上にのっている姫キュウリ、姫タケノコ、プチトマトの3つは「姫野菜のピクルス」だ。いずれも、酒が進むしっかりとした味わい。ローストビーフも、塩コショウだけでも十分味わい深いが、うま味たっぷりなトマトとショウガのソースにひたすとまた格別。思わずドリンクをおかわりしたくなる。
ちなみに、タルタルの横には「大根と茎わさびのナムル」、シメサバの下には「わかめのナムル 柚子胡椒(ユズコショウ)とかつおだし和(あ)え」、ローストビーフの下には「茄子(ナス)のスパイス炒め」を配置。食べ進めるうち、下から登場する料理まで手が込んでいるのがうれしい。