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入り口正面のメインの平台中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

入り口正面のメインの平台中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)

本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。この年末年始は週末や祝日を中心に来店客でにぎわった。ビジネス書への反応も悪くなかったようだ。そんな中、書店員が注目するのは、2021年3月期に総合商社トップに上り詰めた伊藤忠商事の歴史と経営マインドに迫ったノンフィクション作家の本だった。

社員にやさしい会社?

その本は野地秩嘉『伊藤忠』(ダイヤモンド社)。副題には「財閥系を超えた最強商人」とある。ウェブサイト「ダイヤモンド・オンライン」の連載を1冊にまとめた。10年の社長就任から経営の指揮を執る岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)の経営思想に迫る内容だが、これを初代から続く同社の社風とつながる歴史物語として描き出したところに本書の特徴がある。ビジネスの世界を外から見つめるノンフィクション作家の視点が「商い」の本質と歴史を今の伊藤忠につなぎ、立体的な経営ストーリーに仕上がっている。

プロローグでまず拾っているのは、伊藤忠本社ビルの庇(ひさし)と地下鉄の出口との間のわずか3メートルのところに「濡れないよう、屋根を造ろうや」と岡藤氏が言ったという話である。「社長になって、彼が着手したのは社内の改革と社員の労働環境を整備することだった」と著者は記す。続けて「細かいことの積み重ねが社員の意識を前向きにし、ひいては会社を変えた。社長就任から11年後、伊藤忠は総合商社でトップに立ったのである」と書き付ける。

さらにユニークなエピソードは続く。「社員が午前8時までに出社して働いたら、地下にある社員食堂で、子会社のコンビニ、ファミリーマートが用意した軽食を無料で3個までとることができる」という。この話に続けて、「(初代)忠兵衛は開店から9年後の1881年、社内行事として1カ月に6度も全社員にすき焼きを振る舞う会を開いている」と紹介、「伊藤忠という会社は創業期から社員にやさしい会社だった」と一気に伊藤忠の原点へとさかのぼっていく。

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