――企業は具体的にどんな手を打てば良いのですか?

「まず指摘したいのはアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)対策です。人は生まれ育ってきた環境や社会通念に影響され、本人は意識してなくても、ものの見方や価値観が偏ってしまうことがあります。『女性はリーダーに向かない』というのも、そのひとつ。リーダーと聞くと、多くの人は力強く、メンバーを統率する姿などを想像します。しかも過去のリーダーは男性が大半だったので、自然と男性を思い浮かべもするでしょう。だけど力強さや統率力などは男性だけの特質ではなく、女性の中にも持っている人はいます」

「冷静に考えれば、一人一人もそう気付くでしょう。でも日常的にはアンコンシャスバイアスに判断が支配されてしまうため、『誰を次のリーダーにしようか?』『自分の後任を誰にしようか?』と考えたとき、悪気はなくとも、女性が選択肢に入ってきません。そんな繰り返しで、登用される女性は制限されます」

「女性登用に必要なのはアンコンシャスバイアスを断ち切る仕組みです。そういった意味ではSOMPOホールディングスがサクセッションプラン(後継者育成計画)の候補者のうち4割以上は女性にするとした施策は有効です。ほかにも女性登用・育成を人事評価の対象にし、結果をボーナスなど報酬に反映する方法も考えられます」

――各企業に任せていて、30年30%の目標達成は可能でしょうか?

「自然発生的な達成は困難だとみます。二極化が著しいなか、できていない企業を動かすには法的措置など外からのプレッシャーが必要です。各社の実情を考慮しつつ、少し高めの目標数値を設定させ、達成具合と併せて情報公開を義務付けるなどです。世界の投資家はダイバーシティ経営やジェンダー平等に強い関心を持っています。これらが実現していない経営はリスクが高いからです。中途半端な目標を設定したり、目標が未達だったりした企業は投資対象から外される恐れもあります。女性役員登用は経営課題だと認識し、抜本的な対策を打つことが重要です」

(編集委員 石塚由紀夫)

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