2022/4/28

米国のある大企業では、現在の働きについて最高の評価を受ける女性は男性よりも7%多かったにもかかわらず、女性の昇進率は男性に比べ14%も低かった。その原因は、将来性についての評価の違いだ。昇進には将来性の評価に重きが置かれるが、女性の将来性は男性よりも8%低く評価されていた。ところが、その後の仕事ぶりを追跡してみると、むしろ女性の方が高い評価を得ており、女性の将来性が過小評価されていたことが分かる。

どうすれば公正に将来性を評価できるだろうか。ひとつの対策は、評価軸を事前に設定し、評価の根拠を求めることだ。また、立場の異なる複数の人物の評価を織り込むことも、恣意性の軽減につながる。誰もが無意識のバイアスと無縁ではない。それを自覚し、解決のために工夫を重ねることで、バイアスを減らすことができる。

※出典 [注1]Goldin, Claudia. 2014. "A Grand Gender Convergence: Its Last Chapter." American Economic Review, 104 (4): 1091-1119.
[注2]Benson, Alan, Danielle Li, and Kelly Shue. 2021. ""Potential" and the Gender Promotion Gap." Massachusetts Institute of Technology 
山口慎太郎
東京大学経済学研究科教授。内閣府・男女共同参画会議議員も務める。慶応義塾大学商学部卒、米ウィスコンシン大学経済学博士号(PhD)取得。カナダ・マクマスター大学准教授などを経て、2019年より現職。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と、結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。著書『「家族の幸せ」の経済学』で第41回サントリー学芸賞受賞。近著に『子育て支援の経済学』。

[日本経済新聞朝刊2022年4月18日付]