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10日投開票の参院選は女性の当選者が35人と過去最多になった。それでも日本の国会議員の女性比率は衆院を含めると15%程度にとどまる。女性の政治参画をさらに進めるために、どんな取り組みが必要か。ジェンダーと政治が専門のお茶の水女子大教授の申琪栄さん、超党派の女性議員のネットワーク「ウーマンシフト」代表理事の本目さよさんに聞いた。

「政党に抜け道つくらせるな」 お茶の水女子大教授・申琪栄(しん・きよん)氏

――今回の参院選の結果をどう見ていますか。

「自民党は候補者の女性割合が23%だったのに対し、立憲民主党は51%を女性とした。立民は選挙区、比例代表ともに多くの新人女性を擁立し、そのなかから複数当選した。立民は党としては議席を減らしたが、全体の女性議員を増やすのには貢献したといえる。一方、与党の努力は十分だっただろうか」

――韓国は候補者の一定割合を女性にするクオータ制を導入しています。

「韓国の国会議員選挙(一院制)は小選挙区と全国比例区の並立制だ。小選挙区の30%以上で女性を公認し、比例区では50%以上にすることを政党に求めている。小選挙区は努力義務だが、比例区では強制力を持たせている」

しん・きよん 2006年米ワシントン大大学院修了(政治学博士)。08年お茶の水女子大准教授、20年から現職。女性の政治リーダー養成のための一般社団法人「パリテ・アカデミー」共同代表も務める。

しん・きよん 2006年米ワシントン大大学院修了(政治学博士)。08年お茶の水女子大准教授、20年から現職。女性の政治リーダー養成のための一般社団法人「パリテ・アカデミー」共同代表も務める。

「2000年ごろまで韓国の国会議員の女性比率は数%にとどまっていたが、直近で19%まで伸びた。だが、議席の8割以上を占める小選挙区で強制力がないため、大幅には増やせていない」

――韓国はなぜクオータ制を導入したのでしょうか。

「1990年代の民主化運動が背景にある。女性団体も声をあげ、女性の参画なしに民主化は実現しない、という機運が高まった。一方で男性の現職は議席を譲りたがらない。そこで政治改革の中で定数を増やし、増加分を比例区の女性に割り当てることで政党間の合意が形成された」

「導入後も試行錯誤は続いている。政党助成金の10%は女性候補者の発掘・教育のために使われる基金となる。目的に反した支出があると同額が次回の助成金から差し引かれるが、実際は政党の女性職員の人件費などに充てられ、発掘に結びついていない状況が明らかになっている。制度を導入しさえすれば女性が増えるわけではない。抜け道をつくれないよう、強制力の強いルールも必要だ」

――日本で女性議員を増やすにはどんな取り組みが有効でしょうか。

「日本は世界と比べても政党助成金が多い国だ。女性候補を増やせない政党に対し、助成金を減らすのは一案だ。フランスは下院選で男女の候補者の開きの割合に応じて助成金を減らす仕組みで女性議員を増やしている。アイルランドは40%の女性クオータを守らなければ、助成金を半額まで減らす改革を実施した。日本は先行する各国の取り組みから実効性のある対策を学べるはずだ」

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