2022/7/26

「議員や政治、身近に感じられる取り組みを」 ウーマンシフト代表理事・本目さよ氏

――参院選の女性当選者が過去最多となりました。

「与党が選挙区で女性候補を増やせば、もっと増えたかもしれない。ただ、現状では多くの女性にとって政治の世界は遠い。議員の仕事を知らないし、やりがいもわからない。生活課題を感じていても子どもが小さいから選挙に出られない、など家庭との両立から二の足を踏む人はいる」

ほんめ・さよ 2006年お茶の水女子大大学院修士課程修了、NTTデータ・イントラマート入社。11年から東京都台東区議会議員を務め、現在3期目。15年にウーマンシフトを立ち上げ、22年に一般社団法人化した。

「特に国会は外交や安全保障などを含め地方議会より扱うテーマが広く、ハードルが高い。より多様な視点を政治に届けるために、まず地方議会を中心に女性が立候補したいと思ったときに出られる環境づくりが大切だ。議員の仕事をうまく伝える必要性を感じる」

――女性が議員を続けるうえでの課題は何でしょうか。

「同僚議員や有権者からのセクハラに悩む女性議員は多い。本来なら政策実現にさけたはずの時間や気力を奪われてしまう。21年、政治分野の男女共同参画推進法の改正により、国や自治体にハラスメント防止策が求められた。抑止力となることを期待したい。議会によっては会議が夜まで長引くこともあるが、議員たちの話し合いで会議の時間帯を考慮するなど解決できる部分が大きいのでは、と思っている」

――地方議員を務めながら、超党派の女性議員のネットワークを運営しています。

「若手女性議員を支援する環境整備の必要性を痛感して始めた活動だ。議員の女性比率は国、地方議会ともに低い。例えば市区議会では17.4%にすぎない。届きづらい女性の声を政治につなぎ、政策を実現できる女性議員を増やすことをミッションに掲げている」

――女性の声を政治につなぐため、具体的にどんな取り組みに力を入れたいですか。

「19年から育児休業中のお母さんを中心とした女性のインターンを受け入れている。議員にはいいにくい、と当事者たちが思っているようなリアルな声を拾ってもらい、行政に生かしていこうという狙いだ。これまで15人の議員のもとで計66人が体験した」

「今後は全都道府県にママインターンを受け入れる議員を広げることが目標だ。来賓席に座っている議員のイメージが『意外と普通の人だな』となり、議員や政治を身近に感じられるようになるかもしれない。そのなかから議員を目指す女性も出てきたらいいと感じている」

■議員を「働きやすい仕事」に
23年春には統一地方選がある。国は25年までに衆院選、参院選とともに統一地方選の候補者の女性割合を35%に上げる目標を掲げている。各政党が意欲と能力のある女性をどれだけ擁立できるか目を凝らしたい。

女性議員を増やすにはハラスメントを我慢したり、24時間働いたりする政治家を当たり前としたままではいけない。環境を整え、女性が働きやすいと感じられるような仕事とすることが欠かせない。

今回の参院選中、安倍晋三元首相が襲撃を受け亡くなったことに衝撃が広がった。本目さんは「(男女問わず)議員が危害を加えられる、というリスクをそのままにしてはいけない」と話す。ボランティアらの協力も得ながら安心して選挙や議員活動ができる体制を整えることもより重要になってくる。
(ダイバーシティエディター 天野由輝子)

[日本経済新聞朝刊2022年7月18日付]