2022/4/26

Cさん 「周囲に育休を取得した男性がいるが、本人のいない飲み会で、上司が『目標を達成していないのに、なんで休むのか』と陰口を言うのを見た。自分も育休をとったら『あいつは出世には興味がない』とレッテルを貼られる恐れがあるので、とらなかった。本当は数カ月から1年くらい育休を取得したい」

Bさん「休みたければ休めるという、きれいごとではすまない感じだよね。ただ、育休をとることによってモチベーションが向上し、職場全体の生産性が高まる可能性はあると思う。自分のチームメンバーは、みんな小さな子どもを抱えているけど、お互いに理解があるので相談しやすく、意思決定もスムーズ」

「男性が育休を取りやすくなるために必要なこと」については、男性全体の74%が「上司の理解」をあげた。「同僚の理解」(64%)、「昇進や配置転換で不利にならない」(53%)と続いた。

Aさん 「昇進についての安心感がほしい。現場を束ねる管理職が育休を取得して、ロールモデルになることが必要だと思う。『休みを取っても昇進できる』という象徴的な人が近くにいればとりやすい」

Bさん 「育休をとらないと本人や上長が人事評価でマイナスになるぐらいの強制力を持った制度があるとよいかもしれない。職場の雰囲気も重要。子どもが生まれたとき、育休取得経験のある男性から『手続きが大変で、結構面倒だよ』と言われて、とろうと思わなかった、という経験があるので」

Cさん 「育休をとったことで業務上の成果が目標に届かなかったとしても、ゲタを履かせてくれるような制度もあるとよい。昇進に対する価値観を変えるようなことをしないと、取得者は増えないと思う」

■「育休で生産性向上」30% 
男性育休の推進には生産性の議論も欠かせない。女性も含めた519人に「男性育休が普及すると、職場の労働生産性は向上しそうか」と聞いたところ「向上しそう」と回答したのは30%、「低下しそう」が24%だった。向上の理由としては「まず残業ありきで考えていた働き方が改善する」(男性、47歳)、低下の理由は「引き継いだ業務を習熟するまでに時間がかかる」(男性、50歳)などの声があった。

男性育休をプラスに働かせるためにはどうしたらよいか。育休取得率100%の積水ハウスでダイバーシティ推進部長を務める山田実和さんは、「個々の企業にあった仕組みづくりを優先すべきだ」と話す。同社では2018年以降、育休取得者が上司と取得計画書を作成し、仕事の分担を話し合う仕組みを構築。残業抑制などの効果も得られているという。

「ジェンダーで読み解く 男性の働き方・暮らし方」の著者で関西大学の多賀太教授は「男性育休は効率性の向上を考える契機になる」と話す。事業規模にもよるが、業務の属人化を改め、欠員を前提としたチームをつくれば働き手の病休や介護休暇などにも柔軟に対応できる。労働市場全体でみても「優秀な女性が仕事を継続できるので生産性は高まる可能性がある」と説明する。
(荒牧寛人)

[日本経済新聞朝刊2022年4月18日付]