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時間に縛られない生き方とは実際にどんなものでしょうか(写真はイメージ)=PIXTA

時間に縛られない生き方とは実際にどんなものでしょうか(写真はイメージ)=PIXTA

日経クロステック
キャリアアップや人間関係構築、給与などの待遇面、転職や起業――。技術者の多くは、自分の働き方について様々な悩みや不安を抱えています。人事コンサルタントとして様々な企業の職場活性化を支援する天笠淳さんが、こうした不安を解消し、働く楽しみを見いだすための具体的な方法を紹介します。

筆者は、キャリア設計に関する社員研修やワークショップの講師を長年勤めています。その受講者と接する中で、「明らかに時代が変わった」と実感することがあります。

30年ほど前の受講者は、自分でコントロールできないライフイベントを理由に「働き続けなければいけない」という考えを前提にしていました。「住宅ローンが終わるまでは働かなくては」「子どもが大学を卒業するまでは学費を払わなくては」などです。

自分が望んで働くというよりも、自分がコントロールできない家族や子どものために何が何でも働かなくてはならないという思い込みが強かったのです。背景には、自分のキャリアを考えることの面倒さや情報の少なさもあったと思います。

それが平成に入ってしばらくすると、「自分らしく働く・生きる」といったワークライフバランスの考え方に変わりました。さらに令和になってからは「自発的に離職」「40歳までにいったん退職し、好きな仕事をする」「働かなくても暮らせる資金を持つ」などの言葉が聞かれるようになりました。

キーワードになるのは「アーリーリタイアメント(早期リタイア)」です。経済的な基盤を確保した上で早期に退職する「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」もよく耳にします。

以前は定年を控えた人の関心事だった「退職」について、年齢に関係なく受講者から質問されるようになっているのです。時間とお金に束縛されない生き方、言い方を変えればお金と時間を気にしなくてもよい生き方を模索する人が増えているということでしょう。

では、時間に縛られない生き方とは実際にどんなものでしょうか。一緒にシミュレーションしてみましょう。

自分で自由に使える12時間

まずA4のコピー用紙を用意し、以下の文字を書いてください。これは筆者が以前、保険会社で講師をしていたときから使っているシートの1つです。

「定年後の1日」を考えるためのシート(出所:アネックス)

「定年後の1日」を考えるためのシート(出所:アネックス)

30年前は、60歳で定年を迎えた後の生きがいを考えるためのシートでした。当時は現役で働いている間は、働きがいや生きがいなど「考えずに働け」といった風潮がありました。また、何も考えなくても定年まで働けば退職金を受け取れ、そのお金と年金が老後を支えてくれると信じて疑わない時代でした。ですから中堅や若手の世代には、このシートの出番はなかったのです。

しかし今このシートは、40代からの早期リタイアの相談で活躍しています。20~30代がこの先に取り組みたい働き方や生き方を考えるためにも使っています。そんな用途でこのシートを使う時代が来るとは思ってもみませんでした。

では、このシートを使って具体的に考えてみましょう。まずあなたは、見事40歳でFIREをなし遂げたとします。

日々の出費は、スーパーで1日3食の買い物をすることくらい。衣類は月に1度程度、値段を気にしながらファストファッションで購入します。光熱費の支払いもありますが、住宅ローンは完済している状態です。

このように、ひとまず衣食住は事足りています。筆者からすれば、FIREをなし遂げていなくてもこの3つが満たされていれば人生は満足だと感じますが、それではお話にならないのでシミュレーションを続けます。

まず起床です。朝は何時に起きますか。そして朝食まで何をしますか。例えば午前6時に起床して7時に朝食を取る場合、その間の1時間何をしますか?という質問です。

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