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「飲む福神漬け」老舗洋食店に聞くカレーと合うワイン

エンジョイ・ワイン(45)

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料理との相性を想像しながらの銘柄のチョイスは、ワインの醍醐味の1つだろう。相性がピッタリのワインなら、料理のおいしさも増す。逆もまたしかり。特に合わせるのが難しいとされるのが、ピリッと辛いカレーだ。家庭で作ることも多い、こってりとした欧風カレーにはどんなワインが合うのか。レストラン「資生堂パーラー ザ・ハラジュク」(東京・渋谷)の店長でソムリエの本多康志さんに取材した。

資生堂パーラーと言えば、明治時代から続く西洋料理レストランの草分け的存在。東京・銀座の本店には、太宰治や池波正太郎など日本を代表する文化人が足しげく通った。美食家としても有名な池波は、「戦後の30年間、すべてが目まぐるしく変ったのに、ここの味だけが変らぬ。変らぬままに、戦前の繁栄をも持続させている。これは、まさに、『持続の美徳』というものであるまいか」とエッセーに書いている。

その資生堂パーラーの看板メニューの1つが「カレーライス」だ。資生堂パーラーの公式サイトでは、カレーライスをミートクロケットやチキンライスなどと並ぶ「伝統的メニュー」として紹介し、3日がかりで仕込む秘伝の味を「レストラン開業時から伝わる、カレーライスのこだわり」と説明している。

そんな資生堂パーラーに本多さんが入社したのは約20年前。本店が入る東京銀座資生堂ビル内にあるイタリアンレストラン「FARO(ファロ)」でソムリエとして働き、後半の約10年間はシェフ(チーフ)ソムリエを務めた。2020年6月、ザ・ハラジュク店のオープンと同時に、店長に就任した。

ファロにはカレーライスのメニューはなく、本多さんがソムリエとしてワインとカレーの相性を本格的に研究し始めたのは、ザ・ハラジュク店に移ってから。資生堂パーラーの看板メニュー、カレーライスとピッタリ合うワインを何とか見つけたいという強い思いから、店のワインリストに載っているワインをいろいろ試飲し、セオリーにとらわれない独自の組み合わせを発見した。

料理にワインを合わせる際は、「味わいの傾向が似たもの同士を合わせるのが基本」。数あるワインの教科書にはだいたいそう書いてある。例えば、さっぱりとしたサラダには軽い味わいのフルーティーな白ワイン、デミグラスソースなどで味付けした濃厚な味わいの牛肉料理にはフルボディーの赤ワインといった具合だ。また、甘いデザートには甘口のデザートワインを合わせるのが一般的だ。

この原則にのっとってよく言われるのが、「スパイスの効いたカレーにはスパイシーな味わいのワインが合う」。白ワインなら仏アルザス地方などが主産地のゲヴュルツトラミネール、赤ワインならコショウの香りが特徴のシラーが、カレーにピッタリのワインとして紹介されることが多い。ちなみに「ゲヴュルツ」はドイツ語で香辛料を意味する。

冷やすと一層おいしくなる1本は

これに対し本多さんのイチ押しは、イタリアのエミリア・ロマーニャ州でつくられる微発泡性の赤ワイン「ランブルスコ」だ。微発泡ならではの優しい泡の刺激、イチゴやクランベリーなど赤いベリー系の甘酸っぱい香り、しなやかで控えめなタンニンが特徴で、フレッシュでジューシーな味わい。小売価格は1本1000円台からと、値段も手ごろだ。

「確かに、同じ味わいの傾向のものを合わせるのがペアリングの基本ですが、カレーのような刺激のある味わいの料理には、刺激の強いワインは必ずしも合わないのでは、と思っている。どんな料理にも合うとされるシャンパンは、泡の刺激が強すぎてカレーとけんかするし、タンニンやアルコールの強いワインも、少なくとも濃厚な味わいの欧風カレーには合わない」と本多さんはいう。

その点、ランブルスコは「泡もタンニンも控えめで、アルコール度数も比較的低いため、カレーと衝突するような刺激はない」。さらに、「カレーにはよく冷えた水が合うように、ランブルスコもカレーと合わせるときは、冷やすと一層おいしい。しかも、適度な甘みと酸味があるので、カレーの刺激を口の中でほどよく中和してくれる。カレーを一口食べてからランブルスコを口に含むと、カレーをもう一口食べたくなる」と続けた。

ワインがカレーを包み込み味わいがまろやかに

ザ・ハラジュク店で実際にやや甘口のランブルスコを飲みながらビーフカレーを食してみた。資生堂パーラーのカレーは辛さに加え、カカオのような苦みも感じる、非常にコクのある欧風カレーだ。スパイスの刺激がまだ強く残るうちにワインを少し口に含むと、ワインがカレーを包み込むようにして、刺激を瞬時にまろやかな味わいに変えた。同時に、カレーの風味とワインの風味が互いを完全に消し合うことなく、むしろ混然一体の余韻となって、口の中にしばらくとどまった。

余韻を楽しみながら、この感じは何かに似ていると思った。そう、福神漬けだ。カレーと合わせたときのランブルスコの適度な甘みと酸味が、福神漬けの甘酸っぱさとそっくりなのだ。そう感想を伝えると、本多さんは「実は、カレーライスを召し上がるお客様にランブルスコをおすすめするとき、これは『飲む福神漬け』ですと言っておすすめしています」と答えた。福神漬けなら、カレーに合わないはずはない。

ランブルスコ以外では、イタリアの白ワイン「フラスカーティ」もおすすめという。「フルーティーでアルコール度数も低め。酸味がもともと控えめなので、ランブルスコ同様、冷やしても酸味をそれほど強く感じず、カレーの刺激を程よくまろやかにしてくれる」と本多さん。同じく、イタリアのフルーティーなスパークリングワイン「プロセッコ」もカレーとの相性がよいという。プロセッコを選ぶ場合、「ブリュット」と表示された辛口のものより、ほんのりと甘い「エクストラ・ドライ」がいいという。

赤ワインなら、やはりフルーティーでタンニン控えめ、ちょっと冷やして飲むとおいしいフランスの「ボージョレ」も悪くないという。本多さんは、「値段の高い料理には高級ワインを合わせるというイメージもあるが、高級カレーに高いワインを合わせる必要はまったくない。一番重要なのは飲みやすさ。レストランでも家庭でも、そんな風にカレーとワインのペアリングを楽しんでほしい」とアドバイスする。

(ライター 猪瀬聖)

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