変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

「ローソン大学」事務局長の山上さん

「ローソン大学」事務局長の山上さん

人気企業・注目企業が新人教育で使ったり、新入社員に推薦したりしている書籍と、各社の人材育成戦略を取り上げるシリーズ「社会人1年目の課題図書」。第19回はローソンです。

身近な商品を売るだけでなく、金融やチケット予約など幅広いサービスを展開し、いまや社会インフラとなったコンビニエンスストア。大手3社の中でローソンは、健康志向の「ナチュラルローソン」や100円均一の「ローソンストア100」などユニークな業態の店舗も展開している。最近では宅配向けの調理事業に参入するなど「小売業界のゲームチェンジャー」を自負し、独自の戦略で攻勢をかけている。

同社内の教育・研修機関「ローソン大学」の事務局長を務める人事本部の山上賢一さんが新入社員に推薦する書籍は2冊。高卒入社の新人向けには『増補版 大人のための国語ゼミ』(筑摩書房)を、大卒入社組には『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(日経BP)を薦めている。

『国語ゼミ』は、高卒者向けの研修でテキストとして使用。高校までの教育だけでは学びきれていない、仕事で必要な論理立てた文章の書き方や話し方を学べるという。

「相手の立場に立つ、事実か意見かを区別する、根拠を明確にするなど当たり前だけれども案外おろそかにしがちなポイントが、非常にわかりやすく書かれているので、2~3カ月に1度の集合研修で1章ずつじっくりと学ぶ形にしています。当初はどのくらい効果があるのか半信半疑でしたが、毎回単元が終わるごとに書いてもらうリポートで驚くほどの成長を感じています。話す内容や段取り力も格段にレベルアップするので、お客様とのやりとりやクレーム対応などにも生かせているはずです」

大卒向けの『ファクトフルネス』は、2018年の刊行以来、世界で300万部売れた大ベストセラー。世間では優秀と思われている人たちでさえ陥りがちな「思い込み」をデータを用いて鋭く指摘し、事実に基づく世界の見方を教える。

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
著:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
出版:日経BP
著者のハンス・ロスリングは医師、公衆衛生の専門家で、TEDトークの人気スピーカーとしても活躍。息子夫婦とともに本書を執筆したが、本の完成を見ることなく17年に他界した。冒頭は教育や貧困、人口などにまつわる13問のクイズ。どの質問も大半の人は正解率が3分の1以下で、ランダムに答えるチンパンジーよりも正解できなかった。さらに専門家、学歴が高い人、社会的な地位がある人ほど正解率が低かったという。その理由は誰もが持つ「分断本能」「ネガティブ本能」など10の本能がもたらす「思い込み」にあった。

山上さん自身も目からうろこが落ちる思いで同書を読んだという。これまで個人的に周囲に薦めてきたが、「新入社員の発想の転換にも役立つはず」と考え、21年度入社の大卒社員向け研修でもその内容を紹介した。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック