擬音語が多い昭和世代、拒絶言葉が多い令和世代

そしてそれぞれの世代には話し方に特徴があると言う。

「昭和世代は論理的に話すことは好まず、『パシっと』『ガツンと』など、擬音語、擬態語が多い。平成世代は会話の大半を昭和世代に奪われるため、ボソッとつぶやくようにしゃべる傾向があります。令和世代は『もう限界です』など拒絶言葉が他の世代に比べて多いように思います」 

『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』著者のひきたよしあきさん

そんな特徴があるからこそ、うまく意思疎通ができず、お互いに「声が届かない」という不満を抱いてしまう。そして、このなかで、とりわけ損な役回りをしているのが、管理職になりつつある「平成世代」だという。「よく言えば、『上の世代』と『下の世代』の橋渡し役。悪く言えば両方の世代から『わかってないな』と言われてしまうのです。

自分自身は、厳しい校則で学び、右肩上がりを是とした先輩たちの中で仕事を覚えてきた。やっと自分が管理職になったので、今度は自分が学んだことを教えようと思ったら、まったく違う価値観の世代がいる。脳にインストールされているものが違うため、自分の過去の経験を生かすことが難しい」

「どっちの気持ちもわかるけれど、どっちでもない」。そんな気持ちを抱えたまま、今、管理職として、リーダーとして、会社や社会の難しい人間関係のかじを取らされている。

こうした世代ごとの価値観の違いととともに、コミュニケーションの取りづらさに拍車をかけるのが、デジタル化だ。

「リアルに会って、雑談したり、にじみ出る人柄を感じたりする機会が減っている。求められるのは『効率』と『実績』。ついつい『効率的にやっているのか?』『実績は上がっているのか?』という言葉が増えてしまう。仕事ばかりではありません。家庭やプライベートのコミュニケーションでも、LINEやインタグラムなどのSNSは不可欠。短い言葉を書き連ねるなかで、つい、きつい言葉や言わなければいい一言を書いてしまう。私たちは知らず知らずに、『北風化』する言葉の世界を生きています」

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「言葉は通じる」は思い込み