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ワーキングマザーが増えるなか、企業で新たな課題となっているのが、子育て中の女性社員が陥りがちな「マミートラック」の問題だ。産休や育休からの復帰後、仕事の負担を必要以上に軽減した結果、キャリア形成が遅れる現象のことで、女性の活躍が進まない理由の1つともなっている。解決には企業の人材育成施策などが不可欠だが、ミレニアル世代の共働き夫婦を対象にした調査から報告書をまとめた21世紀職業財団(東京・文京)によると、共働きの夫婦が自分たちで取り組めることもあるという。同財団の山谷真名・事業推進部上席主任・主任研究員にポイントを聞いた。

結婚・出産後も働き続ける女性の割合高まる

――2022年2月に「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」の報告書を出されました。まずは、「ともにキャリアを形成するために」との副題がついた、この調査研究の背景や目的を教えてください。

山谷さん(以下敬称略) 結婚・出産後も働き続ける女性の割合は1990年代以降、徐々に高まっています。特に(改正育児・介護休業法の施行で育児のための短時間勤務が企業の措置義務となった)2010年以降、変化のスピードは加速しています。

21世紀職業財団の報告書「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」より(以下同)

21世紀職業財団の報告書「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」より(以下同)

「デュアルキャリアカップル」志向、企業にもプラス

山谷 結婚を機に女性が退職するといった「寿(ことぶき)退社」、あるいは妊娠を機に退職する「出産退社」といった言葉も聞かなくなりました。意欲や能力のある女性が就業を継続できるようになった点はプラスの変化といえます。

しかしながら、今度は出産や育児を機に女性のキャリアが停滞し、思うように活躍ができなくなってしまう、いわゆる「マミートラック」の問題が生じています。子育て期の夫婦に注目すると、妻側にそうしたキャリアロスの問題が起きているだけでなく、夫側にも諸外国より家事・育児時間が極めて短いといったプライベートロスの問題が生じています。

こうした偏りを解消し、働く人のウェルビーイング(心身の健康や幸福)を高めることが必要です。企業にとっても、夫婦が家事・育児を分担しながら互いにキャリアアップを目指す「デュアルキャリアカップル」を志向できる方が、生産性向上につながるなどメリットがあります。

こうした問題意識から、ミレニアル世代を対象に調査を実施しました。主な目的は2つあります。1つには、夫婦がともに家事や育児を担いながらキャリア形成ができるようにするには何が必要かを明らかにすること。もう1つは、夫婦双方あるいはどちらかのキャリアが停滞してしまう場合、その原因は何かを探ることです。

「ミレニアル世代」の共働き夫婦に注目した理由

――この調査研究では26~40歳(1980~95年生まれ)の人を「ミレニアル世代」と定義し、調査対象にしました。この世代に注目した理由は。

山谷 この世代は、募集や採用などにおける男女差別を禁じた99年の改正男女雇用機会均等法の施行後に就職しました。さらに中学や高校で家庭科が男女共修となった世代でもあります。そうした変化を踏まえ、上の年代よりも男女の平等が進んだ環境で育った層のキャリア形成の課題を探る目的でミレニアル世代を対象としました。

【調査概要】 ※いずれも26~40歳が対象
1)インタビュー調査(20年8~10月に実施)
対象:総合職もしくは基幹職の夫婦33組と女性1名の計67人
2)WEBアンケート調査(21年6月25~28日に実施)
対象:夫婦ともに従業員31人以上の企業の正社員(もしくは団体などの正規職員)であり、現在の勤め先で3年以上働いていて同居の子どもがいる高卒以上の人で、分析対象は男性1912人と女性2194人

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