
あなたにとって、ネクタイとはなんだろうか?仕事服の一部……だとしたら、それはちょっともったいない。本来、タイは装身具。強いられて締めるものではなく、自己表現の手段だ。服装の多様化が進む今こそ、タイ本来の楽しみを見直してみよう。その具体策を、服飾業界の洒落(しゃれ)者たちに示してもらった。

タイを身につけるだけで時代性を端的に表現できる
ビームス プレスチーフ
安武俊宏さん(左)
「時代のムードを端的に表せること。それがタイの魅力だと考えます。今日はフレンチトラッドなムードを意識して、モールスキンのワークジャケットやホワイトデニムにフランコ バッシのタータンチェックタイを合わせました。ちなみに、カジュアルスタイルでタイドアップするときはニットを挟んだほうがバランスよくなると思います。ぜひお試しあれ」
個性も帰属意識も象徴する。そこがタイの面白さ
ビームス プラス チーフバイヤー
金子 茂さん(右)
「タイは個性の表現手段であると同時に、学校やクラブなど特定の集団への帰属を表すものでもあるというところが面白いですよね。その辺りの文脈をどうふまえてタイドアップするか。これもひとつの楽しみ方だと思います。今日はスポーツ柄をあしらったケネスフィールドのタイや動物柄のパンツなど、ライフスタイルモチーフを取り入れてアメトラ的にまとめました」
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今季のテーマはタイドアップの「再開」
シップス バイヤー
今村恭平さん(左)
「2022年秋冬シーズン、シップスは『再開』というテーマを掲げてコレクションを展開しています。人と会うことも外へ出ることも制限されたコロナ禍においては、ドレスアップからも遠のかざるを得ませんでした。しかしこの秋冬は、ようやくその抑圧からも解放されつつあります。だからこそ、スーツやタイを楽しむことの再開を祝福したい。そんな思いを込めたテーマです。今日はソッツィのウールカシミヤニットタイにツイードジャケット、足元はサイドゴアブーツを合わせて、シップスのお家芸である多国籍トラッドを表現しました」
結び方ひとつにも“らしさ”が出る。そこがタイの魅力的なところ
シップス バイヤー
小川厚也さん(右)
「ネクタイは“その人らしさ”が如実に表れるアイテムですよね。色柄だけでなく、巻き方ひとつにも個性がにじみ出る。そこが面白いところであり、タイの魅力だと思っています。私の場合、普段は主張の強い柄を選ばないのですが、きょうは少し張り切ってホリデー&ブラウンのペイズリータイを合わせてみました。とはいえ発色を抑えたマダー調のプリントなので、あまり押し出しが強く見えません。これくらいが自分にとって落ち着けるバランスですね。フランネルのスーツを合わせて、ブリティッシュアメリカン調にまとめました」
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