人生4度目の骨折 還暦でにじむポンコツ感と涙

壁の絵が傾いていたので、ベッドの上に立って直した後、少し離れて見ようと後ずさりした。その時、足を踏み外して転落。左手首がパシッと鳴って動かなくなった。目から火花が飛び散った。人生4度目の骨折だった。

全治3カ月。今は肘から先がギプスでガッツリ固定されている。

痛いわ〜。不便だわ〜。

ファスナー付きのワンピースは夫の出勤前に閉めてもらい、夫が帰宅するまで脱げない。

ベーカリーではトレーを持つとトングが使えず、トングを持つとトレーが使えない。

食器は食洗機で洗えばいいはずだったが、頼みの食洗機は故障中だった……。

還暦の今年、大掃除やスノーボード初挑戦など前向きにやって来たはずだったのに、ここに来て人生にポンコツ感がにじんでいる。涙もにじみそうである。

幸い、骨密度の検査結果は良好。これには整形外科の先生も首をかしげつつも、1つの仮説を教えてくれた。まだデータの蓄積は必要なものの、骨折を繰り返す人は確かに何割か存在することが分かっている。更にこの病院では、転倒などで手首を骨折した人の中で1年以内に骨折で再診する人が2割ほどいるという(連鎖骨折)。

手首の骨折はちょうど私くらいの年齢から増え始める。けがをすれば後遺症の心配も出てくる。予防はここが勝負どころ。やる気を出しましょうよと真顔で先生が言った。

骨折しないあしたのために、その1「自分を知る」。

体の中に不調や違和感のある場所はないか、姿勢が悪くなってきていないか、歩き方はスムーズか、硬さを感じる場所はないか、筋力や体力が落ちて外出が億劫(おっくう)になっていないかなど全体像を把握する。

私は柔軟性の無さが昔から気になっていた。

年を重ねるごとに更に可動域が少しずつ狭まっているとしたら、気づかないまま体の動きも悪くなっている可能性がある。骨折しやすいのも、それが一因かもしれない。