
東急田園都市線の二子玉川駅から少し歩いた場所に予約の取れない人気のすし店がある。それが「すし㐂邑(きむら)」だ。
ミシュラン2つ星を獲得した実力派で、昨今の「熟成すし」ブームの先駆者として語られる名店だが、そのすしを味わうのはなかなかハードルが高い。
しかし、その味が手軽に、新宿で食べられると噂が流れたのは2021年の夏。それが今回紹介する21年7月開店の新宿「きむら丼」だ。
「きむら丼」は「すし㐂邑」の大将である木村康司さんの名前に由来している、とわかるが、そこに続く「丼」とは?
そのコンセプトとすしと丼のつながりを教えてもらうべく、訪れたのは新宿駅から徒歩すぐ、「高島屋タイムズスクエア」のレストランフロア14階。エレベータで上がるとすぐ、目にも鮮やかな紺色ののれんが目に入る。
こちらをプロデュースしたのは先述の「すし㐂邑」の大将・木村さん。そして調理を統括しているのはすし職人の中村浩一さんだ。
店内に入ると広々とした空間が広がり、窓の外には四谷方面の緑豊かな景色が美しい。ゆったりとしたテーブル席は席数も多く、会食など多用途に使えそうな半個室もある。
すし店というイメージからちょっと緊張しそうなカウンター席の造りかと思いきや、たっぷり光の入る店内はすがすがしく、すし初心者でも安心して食べられそうな開放感がありとても気持ちいい。
さて、意外性のある立地に店内、そして「丼」を店名に掲げる理由。これらの謎を解くべく、木村さんの思う「きむら丼」らしいメニューを紹介してもらった。

まずは一番人気という「中とろ燻(いぶ)し丼」から。
丼が到着するとともにまず感じたのは、香り。マグロをサクのままワラであぶったことによる香りだそう。