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ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。新型コロナウイルスの感染拡大は第7波が続いているが、このところ人出は多く店頭はにぎわっているという。ビジネス書の売れゆきも前年に比べると上向いているようだ。そんな中、書店員が注目するのは、事業開発の仕方を全工程を通して丁寧に分解、解説した戦略コンサルタントによる本だった。

数百件の事業開発を支援

その本は秦充洋『事業開発一気通貫』(日経BP)。副題には「成功への3×3ステップ」とある。著者の秦氏は事業開発に特化したコンサルティング会社、BDスプリントパートナーズ(東京・港)の最高経営責任者(CEO)。戦略コンサルティングファームのボストンコンサルティンググループ出身で、多くの戦略立案を手がけ、一橋大学大学院経営管理研究科客員教授も務める。2017年設立の同社では数百件の事業開発を支援してきたという。いわば事業開発支援のプロ中のプロだ。

デジタルトランスフォーメーション(DX)や新規事業の立ち上げなど、事業開発は今の企業にとって多くの局面で必要に迫られている業務と言っていい。英語の言い回しに由来する「ビズデブ」なるジョブの名前すらよく聞くようになった。ところがいざ事業開発に取り組もうとするといろいろな壁に突き当たり、「多くの挑戦者が似たような苦労に直面してしまう」。そこで、事業開発を一貫した流れとしてとらえ、「それぞれの手順、取るべき行動、勘所や注意点を具体的に解説」したのが本書だ。

「はじめに」で著者はいう。「本書のキーメッセージは『事業開発に手順あり』ということです」。その大きなくくりは「3サイクル×3ステップ」だ。3サイクルとは「発想のサイクル」「モデル化のサイクル」「実行と巻き込みのサイクル」で、各サイクルはそれぞれ3つのステップで構成される。一直線に並ぶのではなくサイクルという理解が肝要で、1つ前、2つ前のステップに戻って再検討を繰り返すことで精度を高め、次のステップ、サイクルへと進めていく。

この大きな流れを1章で頭に入れた後、残りの9章で各ステップの手順、行動を子細に学んでいくという構成だ。各章の最後には、そうした行動でどんな成果が得られるか、さらにそのステップを経験することでどのような汎用スキルが手に入るかが示される。本書のもう一つのメッセージが「事業開発はポータブルスキルのかたまり」というゆえんだ。

経営書の書棚の平積みコーナーで展示する(リブロ汐留シオサイト店)

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