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どろっとした濃厚ルーの上に、ソースをかけたトンカツを載せ、キャベツを添えて、ステンレスの皿に盛る――。こんな特徴で知られる「金沢カレー」を広めたカレー店チェーンが「ゴーゴーカレー」だ。来年で創業20年と、まだ若い企業だが、既に90店を超え、米国とブラジルにも進出している。味は金沢市発祥なのに、東京・新宿に第1号店を構え、飛躍につなげた。「カレーで世界一」を目標に掲げる創業者の宮森宏和ゴーゴーカレーグループ(東京・千代田)社長に成長の足取りを聞いた。

ゴーゴーカレーが公式ホームページで示している「金沢カレー」の定義は「ルーは濃厚でドロッとしている」「付け合わせとしてキャベツの千切りが載っている」「ステンレスの皿に盛られている」などだ。同社の看板メニュー「ロースカツカレー」も「金沢カレー」のセオリー通り。「金沢カレーの基本は守り続けている」(宮森氏)。だが、同社の本社は、日本の代表的なオフィス街、東京・大手町にある。

「ゴーゴーカレー」の店舗は黄色とロゴが目立つ

「ゴーゴーカレー」の店舗は黄色とロゴが目立つ

味の源流は金沢市にあるが、魂の原点はニューヨークにある。創業ビジネスの種にカレーを選んだのも、「(カレーの強みを生かせば)ニューヨークに行けると感じたから」だ。学生時代に短期の語学留学を米国バージニア州で経験し、帰国の前に米国各地を巡った。最後に訪ねたニューヨークで街の魅力に驚いた。「こんなすごい街があるのか。必ずここに戻ってきたい」と心に誓った。

旅行関連の専門学校を卒業して最初に就いた仕事は、地元の旅行会社。旅行添乗員として各地を旅した。慰安旅行の同行が多く、いろいろな経営者と間近に接した。「旅行はうちとけやすいシチュエーションだけに、経営や人生について様々なことを教わった」という。当時の見聞は今も「経営やオペレーションの財産になっている。ただで勉強させてもらえて、今思えばありがたかった」(宮森氏)。

転機になったのは、2003年4月に当時ヤンキースの松井秀喜さんが放った満塁本塁打をテレビで見たことだった。松井氏は同郷で同世代。快打に感動しながら、宮森氏は思い出した。「自分もニューヨークに行きたかったんだ」と。その瞬間、会社を辞めて創業する気持ちが固まり、「すぐに起業の準備を始めた」(宮森氏)

当時は全国的なカレー外食チェーンは「CoCo壱番屋」ぐらいしか見当たらなかった。しかし、地元の金沢市にはおいしいカレー店がいくつもあり、宮森氏には行きつけの店があった。しかし、まだ全国的にはあまり知られていなかったことから、金沢に眠るカレー文化を生かせば、ニューヨーク進出は夢ではないと感じた。創業のすべてが「ニューヨークドリブン(駆動)」だった。

松井さんの背中を追うかのように、ニューヨークを目指した。「ゴーゴー」という屋号も松井さんの背番号が由来の1つだ。「イケイケという気分も込めた」という。ロゴマークのゴリラは松井さんの愛称「ゴジラ」にあやかった。多くの店舗は午前10時55分に開店する。第1号となった新宿店のオープンも04年5月5日だった。

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