「アナログ時計、買うのはZ世代」ブライトリングCEO時計ブームを語る(4) ブライトリング ジョージ・カーンCEO

2022/5/2
回転計算尺、刻みが入ったベゼル、3つのクロノグラフがナビタイマーの特徴だ ナビタイマー B01 クロノグラフ 43 ケース:43mm、18Kレッドゴールド製 30m防水 機械式自動巻き パワーリザーブ:約70時間 (452万1000円)

パイロットウオッチの代名詞として知られるブライトリングの「ナビタイマー」が新しいモデルに生まれ変わった。4年半をかけて同社のアイコニックウオッチのリデザインを順次手掛けてきたジョージ・カーン最高経営責任者(CEO)にとって、ナビタイマーは「最後のとっておきのデザート」だという。新型コロナウイルス禍やウクライナ紛争という危機下でも新作の投入を続け、NFT(非代替性トークン)やブロックチェーン(分散台帳)を使った真正証明や複数の時計を試せるサブスクリプション(定額課金)サービスなど斬新な取り組みを相次ぎスタートさせたカーンCEO。その強気の事業展開の背景を聞いた。




ウクライナ紛争、事業への影響は限定的

――ロシアのウクライナ侵攻がブランドビジネスに大きく影を落としています。時計業界ではどのような影響が出ていますか。

「個人的な思いとしてウクライナの和平を願うばかりです。ただ、事業への影響については心配していません。2020年のコロナショックから我々は特殊な環境に放り込まれ、目の前の状況に向き合ってきました。今回の紛争の影響ですが、ブライトリングの需要は世界中にあるので、ロシアとウクライナの市場が一時的に欠けたところで事業全体へのインパクトは限定されます」

「経済制裁についても中間層が分厚い米国や中国の市場であれば、非常に大きな影響があったでしょうが、ロシアとウクライナには超富裕層がいても中間層が少ないため、ラグジュアリー市場の人口が限られています。時計業界全体でも大きく戦略を見直す必要はないでしょう。今後のマクロ経済への影響については分かりません。インフレ、株価の下落、不安感の増大など間接的な余波は長く続くかもしれません。でも私は25年間、時計業界に身を置いて大変な状況も乗り越えてきたので、動揺はしていません」

――むしろこうした有事のときは金価格が高騰するなど普遍的な価値に注目が集まりがちです。時計への関心は高まりますか。

「コロナ下でラグジュアリー業界は非常にレジリエント(強じん)だったわけです。旅行もせず、家の中にこもっていた人がラグジュアリーブランドを買う『リベンジバイイング』が起きました。不動産が高騰しすぎて買えない人が、ラグジュアリー商品に手を出す現象も起きています。とはいえ、回復の恩恵は全てのブランドが受けたわけではなく、K字回復といわれるように勝ち組と負け組がはっきりしました。我々が勝ち組になれたのは幸いでした。おっしゃるように危機の中でも失われない価値を持つモノへの回帰がすすみ、ブライトリングはコロナ禍前から提供してきた製品が支持されました」

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