素材そのものの味をそのまま
野菜をおいしく料理する秘訣について石川亨シェフに話を聞いた。

「おいしい野菜はそのままでもおいしいので、(サラダなど)生の場合はカットの仕方に気を使って味を壊さないようにしています」とのこと。そして焼き野菜も「なるべく手を加えないほうがいいです。焼き方もシンプルに。バターなども使いません。以前は塩こしょうをしていましたが、今は塩だけです。素材そのものの味をそのまま出すようにしています」
前述したように、この店では全国の農家から取り寄せた野菜をシェフやスタッフみんなで試食し、どの野菜をどのように料理して出すのかを決めている。野菜が持つ本来のおいしさをシンプルかつストレートに客に提供することにこだわり続けているのである。
現在は北海道、秋田、埼玉、茨城、宮崎などの農家と取引があるといい、時にはスタッフが農家まで実際に赴き、野菜を植えたり、畑を耕したり、雑草をむしったりと文字通り農家と店とで一緒になって、おいしい野菜の発掘にいそしむ。吉田さんは「一日農作業をすると腰も痛くなりますし、それを一年中仕事にしている農家さんたちのことを思うと、おいしい野菜をお客さまに食べていただくことへの責任を感じます」と語る。店で接客する際には「気持ちが入って、つい野菜の説明も長くなってしまいます」(笑)。

店名にもある通り鉄板焼きの店なので、夜はステーキや海鮮をメインに前菜と焼き野菜がつくコース料理が主体。ベジタリアン向けのコースもある。トマトやピーマンなど野菜焼酎もある。夜の単価は1人1万2千円~1万3千円程度。昼は1100円のランチから。テーブルとカウンターに加え、接待やグループに向く個室は2つ。コロナ禍で観光客を中心とした外国人の来店は減ったが、逆に巣ごもり生活などで健康意識に目覚めた人からの人気が高まっているという。
(桜井陽)
記事内での紹介店
やさいや 鉄板焼野菜 赤坂店(東京都港区)
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