
東京・赤坂の華やかな繁華街の一角にある「やさいや 鉄板焼野菜 赤坂店」は、都心のど真ん中で日本全国のさまざまな野菜を味わえるだけあって、近隣のビジネスパーソンや健康に関心の高い層で連日にぎわっている。全国の取引農家から届く野菜の種類は年間で数百にも及び、それを店のスタッフが大勢で味見し、どういう形で客に提供するのかを決めていく。まさに1年を通じて、野菜、野菜、野菜の店だ。
昼下がりの同店を訪れた。まず味見をさせてもらったのはサラダ。水耕栽培のレタスをメインに、常時8~9種類そろえてある季節の野菜がプラスされた1品。野菜をたっぷり食べたい「サラダ欲」を満たすことができる。この日はその中からクレソン、フルーツトマト、ユリ根をいただいた。

クレソンは世界遺産として知られる白神山地(青森から秋田)の湧き水を利用して栽培されたもの。「80歳代のおばあちゃんがつくってくれているのですが、大人気で引く手あまたです」(営業統括マネジャーの吉田真吾さん)。上品で小ぶりな見かけからは想像できないようなパンチのある味で、香りも強く、鮮烈そのもの。春先が旬だけにまるで春の息吹を口に含んでいるかのようだった。
徳島県産のフルーツトマトは果汁のような甘みが皮の中にたっぷり詰まっており、まるでジュース。北海道で採れたユリ根は昨年の秋に収穫されてからじっくり熟成されていて、甘くてホッとする味だった。
少しボリュームのあるサラダがほしいという人には、サラダに自家製ハムとトーストがプラスされたサラダプレートが人気だという。見た目はかなりの大盛りに映るが、胃には軽く、野菜をふんだんに食べられる。
次に味わったのが焼き野菜の盛り合わせ。新タマネギにジャンボマッシュルーム、芽キャベツにジャガイモのメークインなどをいただいた。

ジャンボマッシュルームのインパクトが強烈だった。軽く塩をふってから口にすると、予想外のみずみずしさ。弾力のある食感とも相まって、たいていのお客さんは「なにこれ?」と目を丸くするという。おなかにたまりそうにみえて、実は消化も早い。また、焼く以外でも例えば味噌汁に入れてもおいしいし、煮てもよい味が出る万能な食材だ。
個人的に気に入ったのが、ジャガイモ。北海道で収穫された後、2年間熟成させてある。収穫してすぐは甘くないが、熟成が進んだ後はまるでサツマイモのように甘みが出てくる。それでいて後味はサツマイモのように甘さが続くのではなく、いわゆるポテトのような味に戻る。どっしりとした食べ応えで満足感がある。