リクルートマネジメントソリューションズの宇野渉さん「若手と上司に認識の差」

大卒新入社員の3割は新卒で入社した会社を3年以内に辞めています。ミスマッチは避けられないものの、せっかく採用・育成コストをかけた若手社員に退職されると会社にとっては痛手です。特に昨今は、会社が期待する優秀な若手が何の前触れもなく転職する「びっくり退職」が珍しくないといいます。「びっくり退職」が生まれる背景と対策を、若手の転職事情に詳しいリクルートマネジメントソリューションズアセスメントサービス開発部エンジニアの宇野渉さんにうかがいます。

――就職活動だけで理想の職場に出合えるとは限りません。人材の流動化は避けられない現実ですが、期待の星に去られると会社も上司もショックです。なぜ「びっくり退職」が増えているのでしょうか。

リクルートマネジメントソリューションズ宇野渉さん

「端的にいえば上司と若手社員の認識ギャップが原因です。上司は部下である若手社員の働きぶりを評価し、期待もしているのにそれが本人に伝わっていません。若手からすると『自分の働きぶりはこれでよいのか?』と不安が募ります。それが積もり積もって、もっと自分が活躍できる場所が社外にあるはずだと考えるようになり、転職に至ります。そもそも期待の星ですから、社外でも引く手あまたの優秀な人材。本人がその気になれば転職先は簡単に決まります」

「2019年5月~21年10月にかけて、若手社員とその上司の合わせて2万3005人に実態調査をしました。若手にはワークメンタリティを、上司には部下の評価などを聞いています。ワークメンタリティは『充実』『懸命』『淡々』『悶々(もんもん)』『窮々(きゅうきゅう)』の5段階で答えてもらいました。このうち『充実』『懸命』は心理状況が良好で前向きに今の仕事に取り組んでいると判断できます。残る『淡々』『悶々』『窮々』は不調。退職リスクがある要注意の状況です」

「ワークメンタリティが『好調』か、『不調』か。そして上司はその若手の仕事ぶりを『高評価』しているか、『低評価』しているかで、若手社員を4グループに分けました。通常上司から高評価を得ていれば若手のワークメンタリティは好調で、上司から低評価を受けていると不調だと想定できますが、結果はそう単純ではありませんでした。上司が高評価している若手のうち、約46%が不調を訴えていました。上司からみれば仕事で成果も上げて、生き生きと過ごしているかと思いきや、実は『淡々』『悶々』『窮々』と日々働いている若手社員がこんなに多いのです」

――心理状況が「充実」「懸命」な若手社員と何が違ったのですか。

「ほかの設問への回答状況を統計的に分析し、浮かび上がった元凶は2つ。フィードバックと承認があるか、仕事に誇りを持っているか、でした。フィードバックや承認が少なくなるほど、仕事に誇りを持っていない人ほど不調が増えました」

「ここからみえるのは上司側の問題です。上司は仕事ぶりを高く評価しているのに、それを本人は受け取っていません。上司が伝えていないのか、伝え方が不十分なのか。仕事を部下に割り振るときも、その仕事の意義やなぜその仕事をその部下に任せるのかをきちんと説明していないので、若手は仕事に誇りを持てないのだと推察できます。びっくり退職に直面した管理職らは『昨日まで笑顔で働いていて何の不満もなさそうだったのに……』と嘆きますが、認識ギャップに気付いていれば離職はある程度防げます」

「デンシバ Spotlight」の記事一覧はこちら

今、転職を検討しているあなたへ / 日経転職版

同世代の年収っていくらぐらい?

日経転職版でチェック

>> 年収チェックはこちらから