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しなやかに転職とキャリアアップを重ねる働き方が選択肢に(写真はイメージ) =PIXTA

しなやかに転職とキャリアアップを重ねる働き方が選択肢に(写真はイメージ) =PIXTA

環境の変化に応じて柔軟に変わることができる変幻自在なキャリアが「プロティアン・キャリア」だ。火にも水にも獣にもなれる、ギリシャ神話の神、プロテウスのように、生涯を通じて、しなやかに変身し続ける働き方はこれからの時代にマッチしたキャリアづくりとも映る。転職サイト「日経転職版」は特別セミナー「これからのプロティアンキャリアを考える(日経転職版×Voicyヤング日経企画)」を開催し、日本でのプロティアン・キャリアの旗振り役である、法政大学教授で一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事の田中研之輔氏を招いた。プロティアン・キャリアにおける最新の知見と自立的なキャリア形成を実現するために必要なことを、田中氏に聞いた。

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が発言した「45歳定年制」が波紋を呼びました。新浪社長は「これからは主体的にキャリアを形成していかなければならない」という警鐘を届けたかったのだろうと思います。2019年には、経団連の中西宏明会長が「自分のキャリアは自分で築いていこう」という主旨の発言をしていますし、トヨタ自動車の豊田章男社長も「日本型終身雇用の制度疲労」について発言しています。私たちは今、主体的なキャリア形成について考えなければならないということだと思います。

さらに、老舗大企業の早期退職制度にミドル・シニアが殺到しているというニュースも出るなど、これまでの働き方とは違う動きが起きていることは、皆さんも肌感覚として感じているのではないでしょうか。日本企業のグローバル市場での生産性・競争力の低さが指摘される中、一人ひとりが自律的・主体的にキャリア形成をすることで、日本企業は伸びると私は考えています。

変化の激しい時代に、働き方をめぐる様々な課題を解決しながら、セーフティーネットにもなるキャリア形成を考えていかなければならない、そのために必要なものが「プロティアン・キャリア」なのです。

「プロティアン」の語源は、ギリシャ神話の「プロテウス」の神で、「変幻自在」という意味です。プロティアン・キャリアは、「いかようにも変化できる」というキャリア論です。従来型のキャリア論は、「これまで何をやってきたかキャリアの棚卸しをしましょう」と、過去やってきたことに注目して考えるものでした。しかしプロティアン・キャリアでは、これに加えて、これからを生きる未来も見据えたキャリア設計を考えます。

働き方や生き方をよりよくするための未来設計を、「過去やってきたこと」+「これから生きる未来」の視点で考える、これがプロティアン・キャリアの考え方です。変幻自在にキャリア形成をすると言っても、自分勝手にやれということではなく、これまでやってきたことを活かしながら、これから先に適合していくということなのです。

過去と未来の2つの視点からキャリア形成を考えることは、年齢・性別・職位・勤続年数・企業規模に関わらず、誰にでも今日からできることです。組織に自分のキャリアを預けてしまい、言われたことだけをやり続けていると、キャリアはグロースしません。組織の中にいながらも、自分で主体的にキャリア形成をすることで、心理的幸福感も高まるようになります。

そして、キャリアについては、日常的・定期的に考える必要があります。「研修に参加しよう」とか「転職しよう」とか、そのときにだけ考えてもあまり意味がありません。どのようなことが自分のキャリア資本になるか、自分の強みをどのように磨くか、中長期を見据えて計画的に自己投資していく必要があります。

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