これまで仕事の中で、私はM&A(合併・買収)も手がけてきました。痛感するのは、お金をたたきつけるだけでは会社の買収など無理だということです。お互いとことん議論し、最後に相手が「わかった、一緒にやろう」となって初めてうまくいきます。新しいものを見つけたり、発想したりする作業はみんなの力を集約してこそなせるもので、お互いの気持ちを通わせない限り、無理。これまでのキャリアの中で私はそう学び、実践してきたつもりです。

ご当地に根ざした商品開発も進めている

――コロナ禍ですが、予防や免疫に対する意識の高まりを背景にレモン事業は好調のようですね。

ポッカサッポロの主要レモン商品ブランドである100パーセントレモン果汁「ポッカレモン100」の販売数量は前年同期比で107パーセント、飲料の「キレートレモン」は同120パーセントを記録し、おかげさまで2019年度から3年連続で過去最高を更新しています。ポッカレモン100はレモンサワーの割り材として利用されたり、料理に用いられたり。キレートレモンに関しても疲労感を軽減するクエン酸が2700ミリグラム入った「キレートレモン クエン酸 2700」を中心に好調です。

料理にお菓子作りにレモンが活躍

コロナ禍でより一層、健康意識が高まったことに加え、調理に対する興味も背景にあると感じます。在宅ワークの広がりで、家で料理をしたり、お菓子作りをしたりする機会が増え、その際、レモンを活用している消費者像が浮かんできます。レモンは塩の代替品にもなります。調味料の「さしすせそ」と言えば砂糖、塩、酢、しょうゆ、味噌の5つですが、そこにレモンの「レ」を加え、これからは「さしすせそレ」が合言葉になるような社会にしていきたい、と考えています。

健康軸でいえば、レモン事業ともう一つ、「プランツミルク」事業も今後、成長が期待できる分野と位置づけています。具体的には豆乳や豆乳ヨーグルト、アーモンドミルクやアーモンドミルクヨーグルトのジャンルです。「乳」中心からシフトし、植物性のたんぱく質に今、焦点が当たるようになっています。ポッカサッポロのこの分野は、実は豆乳事業を手がけていたトーラク(神戸市)さんから15年秋に事業譲渡を受けたものです。新たな事業をイチから立ち上げるのは大変で、私は以前からこの分野はおもしろそうと思っていて、着目していた会社でした。

プランツミルク事業は「チルド」と呼ばれる領域で、毎日配送が伴います。ペットボトル飲料や缶詰などストックできる「ドライ」と呼ばれる商品群とはビジネスの根本が異なります。ポッカサッポロはチルドの領域に関し、知見がまだ乏しいので昨年11月にヤクルト本社と国内事業に関し業務提携し、毎日のように配送業務を手がけ「日配ビジネスの王様」であるヤクルトさんからいろいろビジネスを学ばせてもらいます。

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