若者ほど株式を買った方がいい

私は若い人ほど株式を買った方がいいと思います。「今の若者は物欲もないし、金もうけに興味がない」とか、「そもそも株価が上がっても富裕層がより豊かになるだけで格差が広がるだけ。若者の間では株主資本主義に懐疑的な考え方が広がっている」といった反論も聞きますが、社会の中で企業が果たしている役割の大きさを考えれば、社会を自分が望む方向に変えるためにも、株式をうまく利用しない手はないと思うのです。

例えば、地球環境問題についても個人個人の努力より、上場企業に環境に配慮した取り組みを行ってもらう方が何千倍、何万倍も効果があるはずです。日々の生活の中でゴミを分別したり、海岸でゴミ拾いをしたり、節電したりするのももちろん大事なことですが、社会全体へのインパクトという意味では企業を動かす方がはるかに効率的です。ESG投資やコーポレートガバナンス改革によって、かつてないほど効果的に社会を変えられる手段ができているのです。

私がもし環境アクティビストだったら、絶対利用するでしょうね。何しろすごいレバレッジ(てこ)ですから。実際に米国も21年5月、石油大手のエクソンモービルの株主総会で環境系ファンドのエンジン・ナンバーワンが「再生可能エネルギーの選択肢を持っていないと株主の利益が増えない」と主張し、自分たちが推す環境派の取締役を送り込むことに成功しました。エンジンが持つ株は全体の僅か0.02%ですよ。そんなに小さな株主でも、時代に沿った主張で賛同者が集まれば会社をガラリと変えることができるのです。

今は1000円で株式が買え、1議決権あれば株主総会の会場にも行ける時代です。環境問題やサステナビリティー(持続可能性)など社会課題に関心が高い若い人はぜひ株主になり、「製品を作っているあなた方の会社の責任で○○の回収をすべきです」などと提案をしてみてはどうでしょう。絶対面白いと思いますよ。

松本大
1963年埼玉県生まれ。87年東大法卒、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経てゴールドマン・サックス証券でゼネラル・パートナーに就任。99年マネックス設立。2004年マネックス・ビーンズ・ホールディングス(現マネックスグループ)社長、13年6月から会長兼社長。08年から13年まで東京証券取引所の社外取締役、現在は米マスターカードの社外取締役を務める。

(ライター 石臥薫子)

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