検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

おもちゃと思ったら財宝 ロンドン地下に眠る「お宝」

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

イングランドの商業の中心地であり、歴代の君主たちが居を構えてきた首都ロンドン。長年の間、想像を超える富に恵まれた上流階級が特権的なライフスタイルを享受してきた街でもある。宮殿であれ宝飾品であれ、そのきらびやかな所有物はきわめて貴重で、失われたり首都の地下に捨てられてしまったりすることはめったになかった。ということは、研究熱心な現代の考古学者が掘り当てたレアな遺跡や財宝はことのほか価値あるものに違いない。

ここでは、そんなロンドンの地下から見つかったお宝3選を紹介しよう。その昔、ロンドンの上流階級がどのような暮らしをしていたのかをうかがい知ることができるものばかりだ。

プラセンティア宮殿

ロンドンの中心部から南東へ向かってテムズ川を下ると、18~19世紀にかけて海洋帝国イギリスの心臓部だったグリニッジ地区へやってくる。ここには、ヘンリー7世(在位1485~1509年)が、1499年に60万個のレンガを購入して建てたプラセンティア宮殿があった。

宮殿は王室の遊び場として、あらゆる道楽と不道徳が許される場所であったが、1663年に取り壊され、跡地に海軍のための王立病院が建てられた。後に病院は王立海軍大学となり、現在はグリニッジ大学になっている。

1970年、旧王立海軍大学の地下探査が実施され、宮殿の大塔だった長方形の床部分が発見された。床には、釉薬(ゆうやく)が塗られた黄色と緑色のタイルが敷き詰められていた。2006年には、大学のクイーン・アン棟の下で排水溝を掘っていると、古い王室チャペルと、格子柄のフランドル式タイルに行き当たった。チャペルは完全な状態で残されていた。

11年後、今度は旧王立海軍大学の建物のひとつである「ペインテッドホール(絵画の大広間)」を修復中に、埋もれた部屋が見つかった。黄、黒、濃緑のタイルが敷かれた床の下には、2つのアーチ天井の地下室があった。チューダー朝の調理場、パン焼き場、醸造所、洗濯室だったとみられる。

さらに、宮殿に接するテムズ川沿いでも、最近になって興味深い発見があった。宮殿専用の船着き場があり、その周囲から、イノシシ、子ヒツジ、ニワトリ、ウシの骨やカキの貝殻が出てきたのだ。475年前のヘンリー8世の時代、豪華な晩餐(ばんさん)を準備した宮殿の調理場から捨てられたものだ。

おそらくここでの最も大きな発見は、2020年にグリニッジ大学のサイモン・ウィザース氏によってなされたものだろう。先進的な技術を駆使して地下深くに隠された文化遺産のデジタルモデルを構築するウィザース氏は、地中レーダー探査によってヘンリー8世の馬上槍(やり)試合に関連する塔を発見した。八角形をしたこの塔のすぐそばで、王は1536年に瀕死(ひんし)の重傷を負っていた。

「地中レーダー探査のおかげで、クイーンズ・ハウスの青い芝生の下に積み重ねられてきた過去の面影を、一枚一枚、一年一年めくって見ることが可能になりました」と、ウィザース氏は話す。

技術は日々進歩を続け、今や直接触れることなく地下に隠されたものを地図化できるようになっている。

ウィンチェスターパレス

宮殿は、王や女王のものだけとは限らない。グリニッジから上流へ約10キロメートルさかのぼったサザークに、巨大な壁だけが残るロンドン随一の遺跡がある。壁の高い位置に作られた美しいバラ窓が見下ろすのは、中世に建てられたウィンチェスターパレスの跡だ。

19世紀の埠頭と倉庫が解体された後、1983年から大々的に発掘が行われ、ウィンチェスターパレスの残存部分が調査された。その下からは、派手な色のフレスコ画が壁に描かれたローマ時代の浴場も見つかった。考古学と歴史の潤沢な調査が、700年前のエリートたちの暮らしぶりを見せてくれる。

ウィンチェスターパレスは12世紀半ば、スティーブン王(在位1135~1154年)の弟で、裕福な司教だったアンリ・デ・ブロワが、公用でロンドンに滞在する際の住居として、川岸のクリンク通りに土地を購入して建てた。それ以来5世紀にわたって、宗教的、そして時には政治的権威を持つ司教たちの住まいとして利用されてきた。

「ウィンチェスターは伝統的に、王室財政の拠点となってきました。ですから、その司教の多くは、王室の大蔵大臣としての役割を担っていました」と、ロンドン考古学博物館の発掘責任者デレク・シーリー氏は説明する。ウィンチェスターパレスには、テニスコート、ボウリング場、醸造所、精肉所、2万4200平方メートルの庭園などあらゆる便利なものがそろっていた。

チープサイドの財宝

ロンドン大火で焼け野原となった翌年の1667年に再建されたチープサイド30番地から32番地は、17世紀のロンドンで最も有名な金細工職人と宝石商が集まる地区に発展した。しかし、その建物も1910年には老朽化のため取り壊されることになった。

1912年6月18日、靴屋、絹織物屋、時計屋が入っていた建物の木枠を解体したあと、地下室の湿った土を掘り返していた作業員が、地下5メートルのところで何やらきらきらと光るものを発見した。朽ちかけた木箱からのぞいていたのは、これまで見たこともない宝石や貴金属の山だった。

「親方。どうやらおもちゃ屋にぶち当たったらしいですぜ」。作業員の1人がそう言ったが、それはおもちゃではなかった。

世界中から集められた500点もの宝石や宝飾品は、発見された通りの名を取って「チープサイドの財宝」と名付けられた(「チープ(chepe)」は、アングロサクソンの言葉で「市場」の意)。エリザベス朝と続くジャコビアン時代の宝石と原石のコレクションとしては世界最大だ。

所有者は上流階級を相手に商売する宝石商だったと思われ、指輪、鎖、ネックレス、ペンダント、ボタン、ブローチ、帽子のピンなど贅沢(ぜいたく)な品々が含まれていた。宝石類はインドかボルネオのダイヤモンド、コロンビアのエメラルド、ペルシャ湾、スコットランド、またはカリブ海の天然真珠、ペルシャのトルコ石、ロシアまたはブラジルのアメジスト。さらに、巨大なコロンビア産エメラルドにはめ込まれた金時計や、木の葉型に彫られた玉髄をあしらったエナメルの香水瓶。なかでも最も価値ある一点は、エジプトの女王クレオパトラが彫り込まれたローマ時代のカメオだった。

チープサイドの財宝がいつ頃埋蔵されたのかはわからない。財宝が見つかった場所からは、焼け焦げた建物の壁が見つかっていることから、1666年のロンドン大火のときに失われたのではとも考えられている。

この宝石商が、不幸にも財宝を取り戻せなかったことだけは確かだ。そのほとんどは現在、ロンドン博物館に展示されている。

(文 SEAN KINGSLEY、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年10月8日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_