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株式投資は成長企業の目利きにも役立つ

株式投資は成長企業の目利きにも役立つ

学生を相手に資産形成を学んでもらおうとする金融教育が広がり始めている。2022年4月から高校の家庭科にマネー教育が盛り込まれ、就業前の学生のころから将来の資産運用に備えた知識の習得が欠かせなくなってきている。本書『父さんが子供たちに7時間で教える 株とお金儲けの教養。』は長年、企業経営を支援してきた著者が自身の中高生の子ども2人と対談し、株式投資の基本知識を教えるという構成の本だ。株価の形成や投資に関わる利益指標といった用語解説はもちろん、有力投資先と考えられる成長企業の見極め方を指南している。株式投資のイロハを学ぶことは、学生だけでなく、将来の経営幹部の担い手となりうる「若手リーダー」にも参考となるはずだ。

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著者の山崎将志氏

著者の山崎将志氏

著者の山崎将志氏はアジルパートナーズ(東京・中央)代表を務める経営コンサルタント。1971年に愛知県に生まれ、94年に東京大学経済学部を卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)入社。2003年に独立し、生命保険や損害保険、総合商社、製薬、リース、飲料メーカーなどに対するコンサルティングプロジェクトを経験したといいます。企業研修、事業再生などのベンチャーを創設しました。ベストセラーとなった『残念な人の思考法』のほか、『「儲かる仕組み」の思考法』『社長のテスト』など多数の著書があります。

株式投資の教育は「早い方がいい」

本書は全7章で構成されています。著者自身とその2人の子どもとの対談といったスタイルをとり、株式投資の意義や基本知識、必要な相場観などを平易な言葉で解説をしています。最も基本的な日経平均株価の用語に始まり、上場企業の時価総額、株価形成のあり方、有望な投資先の見分け方、必要な注意点の解説など、株式投資になじみのない中高生にも理解しやすいように工夫されています。その上で、具体的な個別銘柄にも言及し、なぜ有望な投資先といえるのか、その投資のタイミング、日々変動する相場のどこをみればよいのか、その勘どころを指南してくれているのが特長です。社会人である株式投資の初心者にもさほど抵抗なく読み進めていけます。

著者自身の株式投資の失敗談も明かされています。現在成長している企業になぜ過去に投資をしなかったのか、相場の変動を見誤り損失を抱えてしまったのか。生々しい記述もみられます。「借金で投資は絶対にしてはいけない」「悲観的な考えは投資に役に立たない」といった過去の失敗に学んだ著者自身の教訓を明かしています。

注目したいウェブサイトの紹介では、URLに加え「QRコード」を併記し、スマートフォンなどで簡単にオリジナルの情報に接することができるように工夫されているのも、書籍としては「いま風」の試みといえるかもしれません。

本文中、国内はニトリホールディングスや、カツ丼チェーン「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングス、海外では米国のアップル、マイクロソフトといった個別銘柄の株価動向が取り上げられていますが、こうした銘柄の株価変動をみることで、次なる成長企業をどう予測していくのか、その目利きの力をどう養っていくのかに触れています。いかに稼ぐかに主眼を置いたありがちな投資本ではなく、学生の教材としても活用できそうです。

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