ワキガの治療法は手術以外にもある

ワキガのニオイが強くなる要素を3つ挙げましたが、治療でもこの3つの要素を改善していきます。最も効果があるのは、ワキの皮膚を切開し、裏側にあるアポクリン腺そのものを除去してしまう手術です。ただ、傷痕が目立ちやすく、医師の技量によっては、ワキの皮膚がひきつれて腕が上がらなくなるといったことが起こり得ます。また、術後は1週間程度、安静が必要になります。

手術まではしたくないという場合、塩化アルミニウムを主成分とするローションなどで発汗を抑えたり、雑菌を減らすような抗菌薬を使ったりする方法があります。また、多汗症治療が適用となれば、エクリン腺の発汗を抑える外用薬のエクロックゲル、ワイプ製剤のラピフォートワイプ、ボツリヌス毒素注射があります。自費診療では、マイクロ波を照射してエクリン腺・アポクリン腺を破壊するミラドライがあります(各治療法の詳細は、「『ワキガになりやすい条件は?』『手術をせずにワキガを治すには』名医が回答!」をご覧ください)。治療を希望する場合は、医師とよく相談するようにしてください。

多汗症はワキガとは厳密には関連はなく、体温調節のためのエクリン腺から分泌される汗が多い症状です。ただ、多汗症の治療でエクリン腺の汗を減らし、ワキを乾燥した状態にすることで、アポクリン腺から汗が出ても雑菌が繁殖しにくくなります。つまり、雑菌が繁殖・活動しやすい環境を変えることで、ニオイが軽減するのです。

多汗症は、汗の量が多くなる病気や障害がないにもかかわらず多量のワキ汗が6カ月以上あり、睡眠中は発汗が止まっている、日常生活に支障を来すといった一定の基準を満たすと診断されます。

(図版作成=増田真一)

この記事は、「『ワキガになりやすい条件は?』『手術をせずにワキガを治すには』名医が回答!」(田村知子=ライター)を基に作成しました。

[日経Gooday2022年11月7日付記事を再構成]

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