答えと解説
正解(ワキガの説明として間違っているもの)は、(2)アポクリン腺は全身にくまなく分布していると (4)ワキガの治療法は手術しかない です。

汗を分泌する汗腺には2種類あり、体温調節のためにかく汗は、ほぼ全身にある「エクリン腺」から出ます。もう1つの汗腺は「アポクリン腺」といい、主にワキ、耳の穴、乳輪や陰部などにあり、その部分の毛にひもづいています。エクリン腺からの汗はほぼ水分でサラサラしているのに対し、アポクリン腺からの汗はたんぱく質や脂肪などが多く含まれているため、やや白っぽく粘り気があります。
「ニオイ」のケアや治療法に詳しい、こまちクリニック(大阪市都島区)顧問の土井秀明氏によると、アポクリン腺にひもづく毛に粘り気のある汗が絡み付くと、毛を足場にして皮膚にすみつく雑菌(常在菌)が繁殖し、汗を分解することでニオイが生じます。このアポクリン腺からの汗の特有なニオイが強い体質をワキガといい、アポクリン腺が多いとワキガになる可能性が高くなります。
アポクリン腺は「毛」にひもづいている

「ワキガの場合、酸っぱいような、チーズのようなニオイがします。なぜかというと、アポクリン腺は乳汁を作る乳腺と類似しているからです。少し専門的な話になりますが、アポクリン腺も乳腺も『断頭分泌』という形式で汗や乳汁を分泌しています。断頭分泌では、細胞の一部がちぎれて分泌物となるため、細胞のたんぱく質や脂肪などの成分が多く含まれます。アポクリン腺の汗も、かいたばかりのときはさほどニオイはないのですが、汗に含まれる成分がエクリン腺の汗よりも多く、これが雑菌に分解されることで発酵した乳製品のようなニオイになるわけです」(土井氏)
土井氏によると、ワキガのニオイが強くなる要素は3つあります。1つ目はワキのアポクリン腺の汗の分泌量、2つ目は汗を分解する雑菌、3つ目が雑菌が繁殖・活動しやすい環境です。逆に、この3つの要素を改善することで、ワキガのニオイが軽減されます。
ワキガのニオイを強くする3つの要素

「日常生活の中では、ワキの毛を処理しておく、デオドラントシートや除菌シートなどでこまめにワキの汗を拭き取る、汗の量や雑菌の繁殖を抑える制汗剤を使うといった対策をしていただくといいと思います。要するに、ワキを乾燥した清潔な状態に保つことが大切です。また、ニオイの強い食品や、肉などの動物性のたんぱく質や脂質をとりすぎないように注意してください」(土井氏)