
日本経済新聞社はスーパーなど小売業のPOS(販売時点情報管理)データを基に、加工食品や飲料など約2000ある分類ごとに2021年に最も売れた商品「日経POSセレクション売上No.1」を決定した。新型コロナウイルス感染拡大の収束時期が見通せないなか、巣ごもりでの家事の負担を軽減したり、マスク着用でもおしゃれを楽しんだり……。日用品や食品、酒類など様々な分野で、企画や販売手法で工夫を凝らしてライフスタイルの変化にきめ細かく対応した商品が売り上げを伸ばした。
新型コロナウイルス感染拡大で自宅でのテレワークや食事の機会が増えた2021年。家飲みや健康志向など、コロナ下の消費の変化をとらえた商品が売り上げを伸ばした。
脂肪ゼロ飲料が躍進
日経POS情報によると、21年に最も売り上げを伸ばした大分類は、「ココア・チョコレート飲料」だった。来店客千人当たり販売金額は444・3円と前年比34.0%伸びた。
売り上げで1位に立った明治「(ザバス)MILK PROTEIN 脂肪0 ココア風味」など、健康志向をとらえた商品がけん引したと見られる。
新型コロナ下の感染対策で飲食店での宴席などを減らし、自宅でお酒を楽しむ人も増えている。こうした家飲み需要を受けて、ビールやリキュールなどの「酒類」も堅調だった。日経POS情報によると、21年1~12月は酒類合計で来店客千人当たり販売金額が前年比プラスだった。「畜産珍味」の分類で売り上げ1位だった日本ハム「チキチキボーン 鶏かわチップス」も酒のつまみとして購入されている可能性が高い。
「キャットフード」も分類全体で売り上げを伸ばしている。来店客千人当たり販売金額の伸び率は20年の前年比8.5%増から21年は同11,6%増と上昇、1商品当たりの平均単価も20年の157円から21年は164円に上昇している。
化粧品、マスク着用を意識

新型コロナウイルスの感染対策のマスク着用で口元を隠す日が増えた影響などで、売り上げが低迷していた口紅。カネボウ化粧品が2021年5月に発売した「ケイト リップモンスター」は紅がマスクにつきにくく、色持ちがよいのが特徴だ。
「マスクを外す一瞬でもかわいくいたい」「オンライン会議でのメーク映えが気になる」など、若年層を中心とした「どんな時でもメークを楽しみたい」という声に着目して商品開発された。
若者にとどまらず幅広い年齢層の支持を集め、21年7月以降はシリーズ商品が1位に立っている。21年12月の来店客千人当たり販売金額はシリーズ全体で169.4円で、21年5月から61.6%増えた。