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VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代、主体的なキャリア形成が必要となっています。ビジネスパーソンは、どのように仕事と向き合えばよいのでしょうか。『「キャリア」は誰のもの』と題したこの連載は、キャリア論を専門とする法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授(通称・タナケン先生)がホストとなって知の巨人たちと考える対談シリーズです。

初回はタナケン先生に、キャリア形成について会社任せではなく自律的に考える「キャリアオーナーシップ」との出合い、ビジネスパーソンがキャリアへの意識を高めるためにすべきことなどについて聞きました。

「人的資本の最大化」 日本企業はできていない

――「キャリアオーナーシップ」について、いま一度解説してください。

「まず前提として『人的資本の最大化』、つまり一人ひとりが『やりがい』『働きがい』『生きがい』を感じながら働く社会を作ることが必須だと思っています。日本企業は今、それができていません。『日本型雇用』が成功してきたからです。それを支えてきたものは『組織内キャリア』、組織の中で割り当てられた業務をこなす画一化・均一化した労働が好ましいと思われるキャリア形成です。組織に我々のキャリアを預けて個性ややりたいことを優先するよりは、組織の意向に従った方がよいという時代がありました」

「しかし『失われた30年』を見ていると『組織内キャリアで失われたものがあるのではないか』ということに気付かなければなりません。そこで次に何が必要になるのかを考え、キャリアを自分の手に取り戻す、つまり『キャリアのオーナーになろう』というメッセージになりました。自分勝手なキャリア形成という価値観ではなく、会社という組織との関係性をより良くしながら人的資本を最大化するアクションです」

――タナケン先生にとってのキャリアオーナーシップとは何ですか。

「米国留学から帰ってきて2008年に法大に着任し、大学人としての業務だけをしていました。しかし3年たつとキャリアプラトー(キャリアの停滞)になり、『このままの形でいいのか』という問いに向き合うようになりました。組織の中に自分のキャリアを預けていくと成長していけないという感覚に陥ったのです」

「そこで仕事への向き合い方を変え、組織の外に出ることにしました。転機になったのは、(ソフトバンクグループ会長兼社長の)孫正義さんが(後継者育成のために)立ち上げた『ソフトバンクアカデミア』に選抜されたことです。法大の仕事を辞めずに初めて越境経験をしたことで、自分のキャリアは自分で育てて磨いていくべきだと気が付きました」

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