魅力のそば、江戸情緒味わえる日本料理店 東京・向島

dressing

2022/3/28
そばと和食の両方が楽しめる「言問コース」

古くからある花街として知られ、文人たちにも愛されてきた街、向島。ぶらりと歩けば、江戸から続く老舗や料亭など江戸情緒を感じる風情が街のそこかしこに感じられる。

この街を訪れたら、おいしい和食を楽しみたいもの。そんなときに気軽に訪れ、目で楽しみ、舌が喜ぶ料理を食べられるのが「江戸蕎麦(そば) 僖蕎(ききょう)」だ。

「江戸蕎麦 僖蕎」は、桜の名所、隅田川にかかる桜橋から歩いて4~5分の場所にある。料亭のような黒の格子が巡らされた外観は、シックで粋な風情があり、界隈(かいわい)でもひときわ目立つ。

淡い色合いのグラデーションが美しいのれんは、島根県の伝統工芸士、西田誠吉氏の作品。のれんをくぐって中に入ると、喧噪(けんそう)から離れた落ち着いた世界が広がる。

1階は全40席、カウンター席とテーブル席。角材が格子状に組まれた格天井(ごうてんじょう)が印象的だ。カウンター席の向こう側にはガラス張りの厨房があり、タイミングがよければ店主がそばづくりをしている様子が眺められる。

2階は24席。仕切っても使える個室と、大人数にも対応可能なテーブル席が並ぶ。壁沿いに並べられた赤い棚がモダンな趣。散策ついでの食事から、家族や仕事仲間との会食まで使い勝手のよい、バリエーションのある席が用意されている。

店主の畠山泰和さんは、20年以上のキャリアを積んだ、和食一筋のベテラン料理人。宮城県にある旅館の厨房から和食の修業をスタート。名店ひしめく銀座の和食店や、山形県にある旅館の厨房などでさらに経験を積む。

その後、神楽坂にある僖蕎系列の和食店で活躍する一方、そば打ちを学んだ。現在「僖蕎」を任され、店長兼料理長として腕を振るっている。

「江戸蕎麦(そば)」とは、少し辛めのつゆで食べるそばのスタイル。「江戸蕎麦 僖蕎」では、宗田節の厚削りと本節をブレンドし、カツオ節のうま味を強くきかせただしを使用。しょうゆと赤酒を使った返しに合わせている。赤酒を使うことで風味が増し、うま味がしっかり感じられるつゆになっている。

そばは茨城県産「常陸秋そば」を使用した、そば粉が8割の二八そば。

「最初、食べた時、うまいなと思いましたね。香りがよいだけではなくて、味もしっかりあるんですよ。ウチが作る辛みが強い江戸前のつゆにもぴったり合います」と畠山さんは、「常陸秋そば」の魅力を語る。

茨城は古くから知られたそばの産地。そこでブランド品種として大切に育てられている「常陸秋そば」は、粒が大きく、香りの高さや滋味豊かさに優れ、玄そば(そばの実)の最高峰という評価を得ている。

「そば打ちの時に大切にしているのは水分量です。日々変わる気温や湿度といったコンディションに合わせて変えています。常陸秋そばは味がしっかりあるので、細めに切ってもうま味が感じられます」と畠山さん。

ていねいに打ったそばはキリッと角が立ち、色白で細い。サッと箸でたぐり、辛みのあるつゆをチョンとつけてすすれば、フワッと繊細なそばの香りが鼻腔(びこう)を抜け、ほのかな甘みが感じられる。二八そばらしいつるりとしたのど越しも心地良い。しょうゆとだしのうま味がきいた深い味わいのつゆは、そばの甘みを引き出してくれる。